2012 Fiscal Year Research-status Report
グリム童話集における数字使用のコンピュータ検索と、その偏差の意味考察
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23652067
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
石川 克知 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 教授 (30142665)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 吉文 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 特任教授 (20091473)
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Keywords | グリム童話 |
Research Abstract |
今年度は、資料データの入手に力を注いだ。現在資料が紙から電子データへ移行し始める時期にあり、多くの書籍が絶版で入手困難な状態になっている。これらの資料を探し出し入手するのにかなりの時間を費やした。結果として、だいたい必要となるものは入手できたので、その後大半の時間を資料読破にあてた。また、徐々にではあるが、電子データでの入手も可能になってきており、特に一次文献としての作品は、グリム以外の関連文献も電子データとして利用可能になった。今後も暫時資料の電子データ化が増加するものと思われるので、当初予定したスキャナでのOCR読み込み作業が大幅に減ったのが、うれしい現象である。ただ、いずれの電子データもプレーンテキストか独自のフォーマットで、コンピュータ分析の対象としては不十分なので、独自のフォーマットへと変換し、新たなデータベースを作成しなければならない。この作業の中心はデータへのXML用タグ付けであるが、その前提として、分担研究者との協議が必要となる。データを有効利用できるかどうかは、一重にこのタグ付けの方針に依存するので、現在慎重に検討中である。基本路線がきまれば、タグ付けの作業自体は困難ではなく、また、XMLデータにすれば、様々な処理が高速で可能になる。グリム童話だけではなく、「ドイツ伝説集」や各種注釈などもデータベースへ付け加えることができたことは、これからの研究環境にとって大きな収穫だと言える。 また、これからは、スマートデバイスという新しいメディア環境での利用も不可欠になるのは確実である。それ故、同時に、スマートデバイス、具体的にはiPadでの利用方法も探っている。現在作成中のグリム関連データベースは、スマートデバイスでも利用可能な環境を整えれば、さらにその利用価値が高くなると思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
入手困難と思われていた関連データが、今年度は予想以上に入手できたので、処理作業が遅れ気味になってしまったが、現在の電子書籍の本格的な普及を反映して、デジタル化されたデータが次第に増加しており、当研究で使用するデジタルデータの種類や分量も、予想以上に増えたことは、デジタル機材の利用が飛躍的に増加する今後の研究にとって、利用価値の高い環境を用意することができたと思う。特に、グリム童話の全版だけでなく、「ドイツ伝説集」や「注釈集」ならびにベヒシュタイン作品集などの重要な文献まで、独自データベースに格納できた。また、様々な関連サイトも発見したので、今後HTMLリンクで相互利用できれば、ポータビリティの点でも有益である。 また、これから一般的な利用環境となるスマートデバイスでの利用に関しては、iPadでの利用方法を、専用アプリケーションと無線LANを介した異機種間での相互利用の二つの観点から検討している。ただ、スマートデバイス自体が現在激しい速度で進化しているので、今のところ安定した環境の構築は、少々時期尚早な感がある。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度には、特にインターネットの活用で、絶版になり入手困難と思われていたデータも調達することができ、データ量が予想より多くなった。加工のすんでいないデータもあるので、分析のためのデータ加工を急ぎ行う。また、分担研究者の作品内在論的解釈と、データ処理の結果とを対照させ、最終的な統一見解をまとめ、研究誌に発表する予定である。また、独自作成したデジタルデータベースを、国内のグリムデータベースの専門家と相談して、フォーマットや保存方法を最終決定する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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