2011 Fiscal Year Research-status Report
「混一疆理歴代国都之図」の歴史的解析―中国・北東アジア地域を中心として―
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23652165
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
渡邊 久 龍谷大学, 文学部, 准教授 (70319507)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱下 武志 龍谷大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (90126368)
岡田 至弘 龍谷大学, 理工学部, 教授 (30127063)
村岡 倫 龍谷大学, 文学部, 教授 (30288633)
中村 和之 函館工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (80342434)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 東洋史 |
Research Abstract |
龍谷大学所蔵「混一疆理歴代国都之図」は、現存する最古の世界地図の一つであり、モンゴル帝国時代の世界が描かれ、古くから各方面から注目されてきたが、そこに記される地名等に関しては、劣化により判読出来ないものが多かったが、研究分担者の岡田らが、デジタル工学に基づき復元し、原図の文字の解読が可能となった。本研究は、復元された本図に記される地名・民族名・その他の情報を解析し、モンゴル帝国時代の中国および北東アジア地域の同時代相を明らかにすることを目的としている。 従来、同地図は模写図に基づく地名比定が中心に行われ、比較的見やすい、あるいは情報量の少ないイスラーム世界からアフリカ地域の解析が中心であった。しかし、本研究は、デジタル工学によって劣化した古地図の復元を基本とし、そこに記載された地名を読み取り、使用された顔料分析により本来の色彩を導き出すことによって、この地図が示す基本的な特徴を解析する。特に、地図の中心を占め、膨大な情報が網羅されているにも関わらず、これまで、文字が不鮮明であるということから、研究対象にならかった中国本土と東アジア海域、さらに、未解明な地名・情報が多い北東アジア地域の歴史的な解析をめざし、研究代表者・分担者各人の専門とする地域を中心に、研究を進めることとする。そのために、岡田により改めて本図の詳細な撮影が行なわれ、さらなるデジタル解析を進めている。 また、23年度は、日本では、名古屋市徳川美術館逢左文庫、京都市東福寺所蔵の中国古地図の調査、中国洛陽市の各研究機関、北京市中国社会科学院、台湾の故宮博物院や国家図書館でも本図に関連する古地図の実地調査も行ない、関連する文献資料も収集し、現地の研究者との意見交換を行なった。今後、それらの地図を相互に比較検討することにより、本図の地名解読の精度を高め、これまで以上に深い解析をする基礎が整った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
23年度は、刊行されている文献の収集については順調に進んだ。また、日本国内や中国の各研究機関に所蔵される、「混一疆理歴代国都之図」と関連する古地図の調査を中心に、研究代表者、研究分担者、連携研究者各人が、中国本土と東アジア海域、さらに、未解明な地名・情報が多い北東アジア地域の歴史的な解析をめざし、デジタル復元を担当する岡田も、改めて本図の詳細な撮影が行ない、さらなるデジタル解析を進めるなど、ほぼ順調に進んだ。それらの成果は、1月に研究集会を開催し、それぞれがその成果を報告した。韓国の研究機関との連携については、23年度中には実現できなかったが、24年度になり、4月に、岡田が韓国国立中央図書館に出張し、実現した。
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Strategy for Future Research Activity |
23年度からの研究計画に基づき、24年度も研究を継続する。刊行されている文献の収集については、努力を継続する。また、海外機関所蔵の古地図などの調査も継続して行なう。二年目は最終年度でもあるので、各人が研究成果をまとめることを最大の目的とするが、学界や一般への還元を考え、11月の下旬か12月上旬に、龍谷大学でシンポジウムあるいは講座を開催する。その折りには、本学ミュージアムとも連携し、「混一疆理歴代国都之図」の原図とデジタル復元図の展示も行なう。 なお、今回の共同研究における成果は、個別論文による発表のほか、本研究のメンバーの従来からの蓄積なども含めて、初年度から可能な範囲で公刊を開始する。そのほか、龍谷大学のホームページでも、研究成果を積極的に公開し、内外多くの研究者間での共有化をはかると共に、一般向けにも発信することによって、より多くの人に「混一疆理歴代国都之図」の意義を知ってもらう。報告書などにおいても、成果を学界や一般に発信する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費の主な使用目的としては3点である。1点目は、23年度の引き続き、国内外の各研究機関を訪問し、「混一疆理歴代国都之図」と関連する古地図の調査を行ない、研究者との情報交換をするための旅費である。ただし、23年度におおむね順調に行なえたので、24年度はその補足程度にしておく。 2点目は、すでに記したように、龍谷大学で行なうシンポジウムの費用に当てるということである。その際に、韓国から研究者を招聘することも考えており、その旅費に当てたり、一般向けに配布するシンポジウムの案内やパンフレットの作成、あるいはシンポジウム後にその成果報告書を作成する経費にも当てる。 3点目は、シンポジウム時の手伝いや、「混一疆理歴代国都之図」の原図から地名をパソコンに入力する学生を雇用し、その謝金とする。以上が24年度の研究費使用の計画である。
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Research Products
(9 results)