2012 Fiscal Year Research-status Report
「混一疆理歴代国都之図」の歴史的解析―中国・北東アジア地域を中心として―
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23652165
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
渡邊 久 龍谷大学, 文学部, 准教授 (70319507)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱下 武志 龍谷大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (90126368)
岡田 至弘 龍谷大学, 理工学部, 教授 (30127063)
村岡 倫 龍谷大学, 文学部, 教授 (30288633)
中村 和之 函館工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (80342434)
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Keywords | 東洋史 |
Research Abstract |
前年度からの研究計画に基づき、研究を継続した。本研究は、デジタル工学によって劣化した『混一疆理歴代国都之図』の復元を基盤としていたが、研究分担者の岡田は、使用された顔料分析により本来の色彩を導き出し、デジタル復元の技術で本図の復元図を完成させ、この地図が示す基本的な特徴を解析した。そして、他のメンバーは、そこに記載された地名を読み取り、それぞれ中国本土と東アジア海域、さらに、未解明な地名・情報が多い北東アジア地域の歴史的な解析し、各人の専門とする地域を中心に、研究を進めた。 それらの成果は、平成24年12月8日に、当初の計画通り開催した龍谷大学での国際シンポジウム「混一疆理歴代国都之図とその周辺」で広く披瀝することができた。シンポジウムでは、韓国梨花女子大学の趙志衡氏を招いて講演をしていただいたのをはじめ、研究分担者である濱下、村岡、中村、岡田らは、研究発表一覧にあるような講演、研究報告をし、代表者の渡邊の総合司会を努めた。シンポジウムには、韓国からも研究者が多く訪れたが、シンポジウムは研究者だけでなく、広く一般の人々も対象としたので、多くの聴衆が集まった。また、それに併せて龍谷ミュージアムで『混一疆理歴代国都之図』の原図を公開し、濱下、岡田、村岡が閲覧に訪れた参観者に説明をし、好評を博した。また、前述した岡田が作成した復元図もミュージアムで初公開した。 シンポジウム後も研究や調査を継続した。海外調査としては、前年度に引き続き台湾に赴き、台湾の故宮博物院、中央歴史研究所、その他の各研究機関が所蔵する『混一疆理歴代国都之図』に関連する古地図の調査を行なった。なお、国際シンポジウムでの各人の講演、報告を中心とした研究報告書は現在鋭意作成中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前述した『混一疆理歴代国都之図』に関する国際シンポジウムは、当初の計画では24年の9月中あるいは10月中に開催し、24年度中にその報告書を刊行する予定であった。その際、特に一般への還元を考え、本学が擁する博物館である龍谷ミュージアムにおいて、世に広く関心の高い本図の原図、およびその復元図を展示する計画を立てていた。しかし、ミュージアムの都合で展示可能な時期を、12月でなければ取ることができず、シンポジウムもそれに合わせて開催することにした。一般への還元を考える以上、シンポジウムと展示の一体化は不可欠と判断した次第である。そのため、シンポジウムの報告書を年度末の25年3月までに刊行するとなると、各人がその執筆に十分な時間を取ることができない。そこで、このたび、研究の期間延長を申請し、認められている。 このように、24年度中に報告書を刊行させるという計画はやや遅れてはいるものの、それは研究を深めるためのもので、これによって、より充実した報告書が作成できるものと考えている。しかし、そのほか、各人の研究、『混一疆理歴代国都之図』に関連する他の古地図の調査等は、24年度においては順調に進んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
前述したように、25年度は23・24年度に研究代表者・研究分担者各人が進めた研究成果、および24年12月に開催した国際シンポジウムの講演・報告をまとめる研究報告書作成に努める。すでに、シンポジウム終了後から、各人は執筆を開始しており、原稿が集まり次第、印刷所に渡し、早めの刊行を目指し、研究成果を学界や一般に発信する。 また、その他、各人は、その他の個別論文による発表という形でも研究成果を公刊することとする。そのほか、それらの成果は龍谷大学のホームページでも積極的に公開し、内外多くの研究者間での共有化をはかり、より多くの人に『混一疆理歴代国都之図』の意義を知ってもらう。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前述した通り、期間延長を申請した理由は、研究代表者・研究分担者の研究成果執筆の時間を十分に取ることによって、より充実した研究報告書を完成させるということである。したがって次年度の研究費はほぼ研究成果報告書刊行費に使用する予定である。
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Research Products
(9 results)