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2011 Fiscal Year Research-status Report

日本における国際義務の国内実施に関する裁判と立法・行政との対話

Research Project

Project/Area Number 23653013
Research InstitutionNagoya University

Principal Investigator

小畑 郁  名古屋大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (40194617)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 高村 ゆかり  名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (70303518)
水島 朋則  名古屋大学, 法政国際教育協力研究センター, 教授 (60434916)
Project Period (FY) 2011-04-28 – 2014-03-31
Keywords国際法学 / 国内実施 / 国内裁判
Research Abstract

これまで蓄積してきた経験により、国際法に関係する国内判例の抽出作業を継続し、悉皆的調査と研究代表者・研究分担者・連携研究者で組織する研究会における徹底的討論に基づいてデータベース化する作業を継続した。このうち、2008年の判例については、紙媒体で公表した(後掲・「日本の国際法判例」研究会(第2期)2011)。この作業を通じて、日本の裁判所における国際法の取り扱いについて、これまで単に印象的に指摘される、関係国際法規則とそれに関わる資料が個人の権利にプラスに働く場合には消極的に、マイナスに働く場合には積極的に、引証・解釈されるという傾向について客観的証拠を提供することになる。また、行政や立法において国際義務に関わる実務にある程度の変更が加えられている場合には、それを前提に解釈を実質的に変更し新たな法理論的整理を与えるという判例の機能も、ごく傾向的にではあるが、見いだすことができる。この作業を通じて、また、西松建設事件(最判2007・4・27民集61巻3号1188頁)について、これまでの判例のみならず行政解釈との関係で位置づけと評価がなされている。これは、連携研究者・板倉美奈子(静岡大学准教授)の解説の形で公表されたが、その多くの部分が、上記研究会における議論に基づくものである。またとくに国家免除との関係で近年の日本判例の考え方が批判的に考察する成果が生まれている(後掲・水島2012)。さらに、事例研究として、児童の権利条約締結時の国内法整備について、先行業績の検討に着手した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

国際法に関連する日本の国内判例の悉皆的調査とデータベース化の作業は、これまでの蓄積もあり順調に進んでおり、その中で個別の最高裁判例の評価は比較的精密になされている。また、国家免除、環境法、人権法、難民法といった個別分野の、とくに外国との比較による日本の状況についての考察は、ある程度進められた。 他方、日本の判例全般の動向の分析は、仮説的命題の提示とそれに基づく客観的証拠の蓄積をすすめている段階にとどまっており、とくに立法・行政との関連という視角から、まとまった形で実証的研究成果を挙げる段階までには至っていない。 また事例研究として考えていた児童の権利条約締結時の国内法整備についての調査は、未だ具体的には着手できておらず、先行業績の収集と端緒的分析がなされたにとどまっている。 以上の遅れの最大の理由としては、研究会の事務を支えるアルバイトについて、当初の見込みと異なり、研究代表者による継続的な努力にもかかわらず、適当な人材を恒常的に確保することができなかったことがある。

Strategy for Future Research Activity

昨年度実現できなかった、研究補助アルバイトについての適当な人材を恒常的に確保し、研究会の事務局体制を整備する。学内行政等で多忙化した連携研究者を一部入れ替え、フレッシュで有能な連携研究者を確保して、研究会体制を整える。 これまでの判例データベースを含む研究成果を積極的に公開し、研究会外部の研究者の意見を積極的に求め、研究への刺激を与える。とくに、判例データベースについては、まだ電子化・ウェブ上で公表されていない部分の公表に向けて目処をつける。このため、この関連の技術的アドヴァイスを受け、必要で適当な人材が得られた場合には技術補佐を担当するアルバイトを雇用する。 国際義務に対応する国内法整備について、とくに児童の権利条約締結時の議論を、関連先行業績の分析をすすめると同時に、とりわけ関連する国会の議事録の部分を特定し、研究会メンバーに基礎的な一次資料として配付し、分析作業に着手できる体制を整える。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

とりわけ昨年度具体的作業に着手できなかったデータベースの電子化・ヴェプ上での公表について、技術的検討と作業のためのとりわけアルバイト雇用をすすめる。 研究補助に従事する適当なアルバイト人材の恒常的雇用により、研究会事務局体制を整える。連携研究者の入れ替えに伴い、新たなメンバー構成による研究会の会合を早期に開催し、分担を確認したうえで、作業と研究を進める。そのため必要な研究環境の整備(関連図書の購入、必要なパソコン環境の整備)をすすめる。 これまでの研究成果について積極的にレヴューを受けるため、国内外での研究者との面談あるいは発表の機会を設ける。そのための旅費を支出する。

  • Research Products

    (8 results)

All 2012 2011

All Journal Article (7 results) (of which Peer Reviewed: 2 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] 欧州評議会・欧州人権条約からみたヨーロッパ憲法秩序2012

    • Author(s)
      小 畑   郁
    • Journal Title

      中村民雄・山元一編『ヨーロッパ「憲法」の形成と各国憲法の変化』信山社

      Volume: - Pages: 22-42

  • [Journal Article] 未承認国への主権免除の付与について2012

    • Author(s)
      水 島  朋 則
    • Journal Title

      松井芳郎先生古稀記念論文集『現代国際法の思想と構造 I 歴史、国家、機構、条約、人権』東信堂

      Volume: - Pages: 161-180

  • [Journal Article] 福島第一原子力発電所事故による放射性排水の放出と海洋環境保護の国際的義務2011

    • Author(s)
      高村ゆかり
    • Journal Title

      環境と公害

      Volume: 41巻2号 Pages: 49-55

  • [Journal Article] 解説・日本の国際法判例(6)-2008(平成20)年-2011

    • Author(s)
      「日本の国際法判例」研究会(第2期)
    • Journal Title

      国際法外交雑誌

      Volume: 110巻3号 Pages: 95-139

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 領事保護権の法的性格-ラグラン事件2011

    • Author(s)
      小 畑   郁
    • Journal Title

      別冊ジュリスト『国際法判例百選[第2版]』

      Volume: 204号 Pages: 112-113

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 国際的環境問題と法-その同時代性と課題2011

    • Author(s)
      高 村  ゆかり
    • Journal Title

      法の科学

      Volume: 42号 Pages: 40-52

  • [Journal Article] Do markets matter? The role of markets in the post-2012 international climate regime2011

    • Author(s)
      TAKAMURA, Yukari
    • Journal Title

      SAWA, Takamitsu & IAI, Susumu & IKKATAI, Seiji (ed.), Achieving Global Sustainability: Policy Recommendations, United Nations University Press

      Volume: - Pages: 175―194

  • [Book] 気候変動と国際協調―京都議定書と多国間協調の行方2011

    • Author(s)
      亀山康子・高村ゆかり【編】
    • Total Pages
      407
    • Publisher
      慈学社

URL: 

Published: 2013-07-10  

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