2012 Fiscal Year Annual Research Report
日系企業とNGOとの協働によるビジネス生態系モデルの研究
Project/Area Number |
23653100
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Research Institution | Kokushikan University |
Principal Investigator |
林 倬史 国士舘大学, 経営学部, 教授 (50156444)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井口 知栄 慶応大学, 商学部, 准教授 (20411209)
荒井 将志 杏林大学, 総合政策学部, 講師 (70549691)
中山 厚穂 首都大学東京, 社会(科)学研究科, 准教授 (60434198)
伊藤 道雄 立教大学, 公私立大学の部局等, 教授 (90386459)
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Keywords | BOP 国際研究者交流 / ビジネス生態系 / 新興国 / NGO / 日系企業 / 民衆の知恵 / 知識 / 多国籍企業 |
Research Abstract |
本研究の目的は、従来の欧米系多国籍企業をベースとしたBOP論を乗り越えた、ものづくり型日系企業独自のBOP論の提起と貧困削減を可能にするビジネス生態系モデルの開発にあった。そこでの最大の特色は、発展途上国の貧困解消という社会的諸問題に対する新たなアプローチを日系企業とNGOとの協働の視点から提起している点にある。 今回の研究は、日系企業を媒介とした現地NGOとの協働による文化的多様性の尊重とローカル企業の自律的拡大基盤を志向した「持続可能なビジネス生態系モデル」の開発にあった。そしてそれによって、貧困者自身の自立的発展に導く「日系企業独自のBPO戦略としてのNGOと企業間の協働モデル」を提示することを目指してきた。外資系企業、特に日系企業が、現地NGO(PBSPとCARD)との協働により、現地に適応した製品やサービスを開発する際に、BOPの貧困層を顧客や消費者としてだけではなく、彼らの知恵を取り込むためにも開発や生産上のパートナーとして参加させていく仕組みを構築できているかという点にあった。 本研究はそうした成果を学習すると同時に、フィリピン社会の底辺で生活する貧困者の自立的発展に向けて、「日系企業を中心とした貧困者自身とNGO、そして現地企業の国境を超えた効果的な協働のあり方と新たな貧困解決型のビジネス生態系モデル」について研究調査を行ってきた。調査研究の結果、現地のサリサリストアでの事業を中心とした貧困層の零細ビジネスと外資系企業のBOPビジネスによる現地でのビジネス生態系の構築とはまだかい離が見いだされた。しかしながら、同ストアで扱われている商品に外資系ブランドが占める比率は確実に増大していた。今回の研究では、こうした傾向が新興国の自律的貧困解消に与える否定的側面と積極的側面をある程度明らかにしえた。
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