2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23653286
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
吉川 一義 金沢大学, 学校教育系, 教授 (90345645)
|
Keywords | 解釈力 / 既有知識 / 知識の範囲と量 / 既有イメージの更新拡大 / 教授システム / 免許制度 |
Research Abstract |
本研究は「解釈力」の育成を中心に据えた教員養成のための教育方法を提案し、その妥当性の実践的検証を目的とした。そのために、以下の3つの下位課題を設定した。課題1:教師歴15年以上の教員(以下、ベテラン教員)と初任教員による特定授業に対するコメントを比較して解釈力概念を具体化した。課題2:課題1を踏まえ、教員に必要な解釈力育成のための具体的カリキュラム策定。課題3:策定したカリキュラムを現役学生に適用しての妥当性検討を実施した。 結果、課題1では、初任教員に対してベテラン教員のコメント数は圧倒的に多かった。質的な違いでは、初任教員に対してベテラン教員は題材内容に関する知識範囲と量、そして児童生徒の反応から児童生徒の既有知識量の推定など、題材と児童生徒に関する知識量の差が顕在化した。これより、課題2と3では教科:国語と英語を主として取り上げ、特定題材に関する知識獲得を補強するための活動と授業体験をカリキュラムとして策定した。特に英語に関しては海外協定校(台湾師範大学)と連携して、台湾の中・高生に英語での授業を実施した。学生の省察から、日本の受験対応英語教育から言語教育としての英語教育が取り扱う内容、その指導法に関するイメージの変更と拡大がもたらされた。学生には自らが生徒であった頃に受けた授業イメージがかなり強く固定化される傾向が見られた。さらに興味深い事は、教員養成学部と他学部で英語を専攻する学生の英文解釈時の既有知識量に違いが認められた。他学部英語専攻学生は進路決定過程でより幅広い進路領域を模索し、幅広い英文題材に多く触れている傾向が明らかとなった。これより、解釈力を支えるにはより豊富な既有知識量が必要条件となるが、獲得する上で、中・高生時代の英語・授業や活用イメージを変更・修正する事が障壁となっており、今回のカリキュラムの有効性が示唆された。
|