2011 Fiscal Year Research-status Report
開発途上国と日本における持続可能なエコヘルス教育(健康・環境教育)の教材開発
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23653287
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
渡辺 隆一 信州大学, 教育学部, 教授 (10115389)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
友川 幸 信州大学, 教育学部, 助教 (30551733)
木俣 美樹男 東京学芸大学, 環境教育研究センター, 教授 (90014852)
朝倉 隆司 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (00183731)
小林 敏生 広島大学, 保健学研究科, 教授 (20251069)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | ラオス / 健康教育 / 環境教育 / カリキュラム開発 / 教員養成機関 / エコヘルス |
Research Abstract |
2011年度は、以下の研究活動を実施した。1)信州大学、東京学芸大学、広島大学の3大学において、エコヘルス教育研究開発のためのネットワークが構築され、研究会を2回実施した。それぞれの大学内において協力教員を組織化する契機となった。2)ラオス国内の2つの教員養成機関と日本の教員養成系大学において、健康教育・環境教育に関連した科目のシラバスを入手した。その内容、対象学科・課程・学年、授業形式などの詳細を分析中である。3)日本の3大学(信州大学、東京学芸大学、広島大学)とラオスの教員養成機関の学生の健康・環境に関する信念、文化的規範、行動様式、実践の質的調査を行なった。それらを、環境教育の前提として大学生が周囲の環境に対して抱いている環境価値観として、プラス・マイナスの両面から分析した。その結果,大学生は身の回りの環境について社会・物・人・感覚に対する意識が先行し自然について価値付けすることが少ないこと,自然に対してはプラスの価値付けをする傾向があること等がわかった。4)日本とラオスの教員養成機関で実践するためのエコヘルス教育の内容を決定し、模擬授業を開発、実践した。さらに、エコヘルス教育のカリキュラム案を作成した。それらはラオスにおいては新しい授業手法として好意的、かつ効果的に受けいれられた。5)ラオスで開催された国際レベルの研究フォーラムにおいて、開発した授業実践の成果と課題を報告した。その結果、東南アジア各国共同で健康と環境にかかわる新たな教科書や教育評価の手法などについての共同研究を発足させる機運が高まってきている。6)国内の関連学会で、開発した授業実践の成果と課題を報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2011年度は、以下の5つの研究活動を達成した。1) エコヘルス教育研究開発のためのネットワーク(日本エコヘルス教育研究会)の構築を計画し、予定通り、研究ネットワークの構築に成功し、研究会を年に2回実施した。2) 日本とラオスの教員養成機関における健康、環境教育の実態(教育システムやカリキュラム等)とニーズの把握を計画し、国内では予定通り3ヶ所から情報を収集し、ラオスでは、予定していた3ヵ所のうち、2ヶ所から情報を収集した。シラバスの入手は計画通り行うことができ、現在、情報を分析中である。各大学の当該科目の担当教員に対するキーインフォーマントインタビューに関しては、次年度に行う予定である。3)日本とラオスの教員養成機関の学生の健康・環境に関する信念、文化的規範、行動様式、実践の現状を把握するための質的調査については、国内は、予定通り3ヶ所で調査を行うことができ、ラオスでは、予定していた3ヶ所のうち、2ヵ所で調査を実施することができた。4)日本とラオスの教員養成機関の学生の健康・環境に関する知識や意識、態度、実践の現状を把握するための量的調査については、国内、ラオスともに、現在、調査の実施のための準備を進めている。また、2012年度に実施予定であった、5)日本とラオスの教員養成機関で実践するエコヘルス教育の内容の決定(シラバスと授業指導案)と用語集の作成については、現地での質的調査の結果をもとに、教材案を作成し、模擬授業を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2012年度は、以下の研究活動を推進していく。1)日本とラオスの教員養成機関で実践するエコヘルス教育の内容の決定(シラバスと授業指導案)と用語集の作成を行なっていく。信州大学教育学部、東京学芸大学教育学部において定期研究会(2か月に1回)を開催し、1年目に実施した質的、量的調査の結果をもとに、エコヘルス教育内容の決定、用語集の作成を行う。開発した用語集や指導案は、開設予定のHP上に掲載し、一般に公開し、適宜、修正・改善などを受け入れる。また、エコヘルス教育のカリキュラム案を作成する。また、公開シンポジューム(平成25年1月に実施予定)を開催し、エコヘルス教育への理解と検討の機会を設け、さらなる開発研究の機会とする。また、2) 日本とラオスの教員養成機関でのエコヘルス教育導入の可能性と課題の検討を行なっていく。具体的には、ラオス国内の3つの教員養成機関(サワンナケート県、シェンクワン県、ビエンチャン県)と日本の教員養成系大学(信州大学教育学部、東京学芸大学、広島大学教育学部)の健康教育・環境教育の担当者を対象として、1年目に実施した質的、量的調査の結果をもとに、各大学で当該科目を担当する教員にキーインフォーマントインタビューを実施し、エコヘルス教育の導入の可能性と課題について検討する。調査時期は、平成24年11-12月(日本)、11-12月(ラオス)を予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2012年度は、設備備品として、教材開発のための関連書書籍の購入や、消耗品の購入を予定している。また、旅費としては、長野、東京、広島において研究代表者および共同研究者が集まり、研究の打ち合わせを行うための費用、研究の成果を関連学会で報告するための費用、ラオスに渡航し、用語集の作成会議や指導案集を作成するための費用の支出を予定している。人件費、謝金としては、用語集の作成会議、指導案集の作成会議への参加者への支払い等を予定している。さらに、そのほかの費用としては、研究の成果を関連学会誌に投稿するための費用、文献複写費用、通信費、シンポジウム開催の際の資料印刷代、用語集および指導案集の印刷に関わる費用の支出を予定している。なお、次年度使用額が生じた理由は、当初計画のラオス出張の回数が研究の進捗状況により少なくなり、次年度実施することとなったためである。
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Research Products
(16 results)