2011 Fiscal Year Research-status Report
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23654034
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
磯 祐介 京都大学, 情報学研究科, 教授 (70203065)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 雅義 京都大学, 情報学研究科, 講師 (10273616)
藤原 宏志 京都大学, 情報学研究科, 助教 (00362583)
大石 直也 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (40526878)
今井 仁司 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (80203298)
東森 信就 一橋大学, 経済学研究科(研究院), 講師 (10397573)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 逆問題 / モデル化誤差 / 数理モデル / 多倍長数値計算 / 光トモグラフィ / 正則化法 |
Research Abstract |
本研究は、光トモグラフィの実用化を最終目標に、逆問題解析におけるモデル化誤差の影響を論じ、その適切な取扱い(正則化法)についての知見を得ようとするものである。現象の数理的な取扱いは現象の数理モデル化から始まり、コンピュータを利用した科学技術数値計算の併用により先端的な技術を支えている。しかし微分方程式を数理モデルとする設定でのこの手法の成功を分析すると、当該の Cauchy 問題や境界値問題が Hadamard の意味で well-posed であったことその重要なポイントである。一方でトモグラフィーを含む逆問題の多くが Hadamard の意味でwell-posed ではないことを考慮すると、今後の 一層の技術発展を視野に入れた場合には抜本的な発想の転換が求められる。特に本課題研究では、対象とする現象の数理モデル化において生じた「モデル化誤差」の評価に焦点を当て、その影響評価の検証を理論と実験から行なっていることが新規的である。 平成23年度は、光トモグラフィの基礎方程式である輸送方程式の解析を数学解析・数値解析の双方から行ない、数学解析面では順問題設定の強い安定性の構造を明らかし、数値解析面では輸送方程式の数値解析手法の確立を行なった。また、研究分担者が行なっている物体内の光伝播の実験データと数値シミュレーション結果の比較検証も行ない、モデル化過程による誤差の影響も検討行ない知見を得た。 平成23年度は、上述の通りの理論研究においては幾つかの知見を得て進歩があったが、光に係る実験データとの比較は上述のような定性的な検討に留まり、定量的な知見を得るには至っていない。また平成23年度は理論研究を先行させたために研究費が当初予定よりも少なくて済んだため、基金化をの趣旨を活かして研究計画の柔軟な変更を行なっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度はの当初計画は光トモグラフィの基礎方程式に関するものと、弾性体方程式に関するもの、また輸送方程式の数値解析に関する事項を挙げている。光トモグラフィの基礎方程式の基礎研究については当初計画通の成果を挙げることができ、また、輸送方程式の数値解析に関しては、当初計画を大きく越えて3次元問題の大規模シミュレーションに関して、信頼できる数値計算法の確立など顕著な成果を得たが、弾性方程式のモデル化誤差の研究に関しては、最小限の進歩に留まっている。以上を総合し、「概ね順調」との判断に至った。
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Strategy for Future Research Activity |
光るトモグラフィの問題に関しては、(1)輸送方程式の3次元数値計算の一層の充実(特に効率的なアルゴリズムの向上)、(2)実験によって得られた実測データとの比較検証によるモデルか誤差の特徴の分析を中心に行ないつつ、(3)GPGPUを活用した計算効率の向上の可能性の検討を併せて実行する計画である。特に、昨年度から本年度に(基金化により)移行した経費を変更した計画に沿って執行し、分担者が中心になって行なっている光に係る実験の充実を前半に行ない、期間後半においては正則化法の知見に寄与するような誤差の定量分析を行なう計画をしている。また、GPGPUに関しては平成23年末に発表された Ivy Bridgeという新たな計算機チップの活用の可能性を、研究協力者である王偉仲教授(台湾大学)ならびに申東雨教授(ソウル大学)との共同研究によって検討する計画をしている。この計画は、当初計画で挙げている高速多倍長数値計算環境exflib の高速化の研究とも密接に関わるもので、新たな計算機チップが発表された現状を踏まえて、発展的な視点から、若干の変更を行なっているものである。 弾性体方程式に関しては、純粋に数学解析的な観点からのアプローチにより、運動方程式の厳格適用による「厳密な」非線型モデルと、その線型化によって生じる誤差に焦点をあて、研究を遂行する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年3月に販売の具体的予定が発表された計算機アーキテクチャ(計算チップ) Ivy Bridge のGPGPUとしての活用の検討は萌芽的研究に相応しいものであり、既にソウル大学の申東雨教授と国立台湾大学の王偉仲教授と研究連絡を開始している。この研究推進のため、6月中を目処に Ivy Bridge の購入(設備備品費の支出)を図り、特にその並列化に関して7月前半までに日・台・韓の研究者によるワークショップを京都で開催(海外研究協力者に係る招聘旅費の支出)し、さらに9月以降の早い段階で Ivy Bridge の活用も含めた GPGPU 一般の研究発表会を京都または神戸にて開催する計画である(研究発表旅費の支出)。光トモグラフィーのモデル誤差の研究では、昨年に引き続き輸送方程式の数値計算スキームの向上を図ると共に、光学ファントム実験を京都大学で行ない(消耗品費の支出)、初年度に行なった定性的な議論の定量化を行なう予定である。台湾中央研究院の劉太平教授との研究連絡(外国旅費の支出)の継続と共に、モデル化誤差にかかる国際的なワークショップを12月までに開催する計画にしている。弾性方程式の研究につていは、数学解析を中心とした理論的展開を計画している。(国内・外国旅費の支出)
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Research Products
(9 results)