2012 Fiscal Year Research-status Report
プラズマ物理に現れる双曲-楕円型方程式系の解の時間大域構造
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23654062
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
西畑 伸也 東京工業大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (80279299)
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Keywords | オイラー方程式 / ポアソン方程式 / 双曲型保存 / ボーム・シース条件 / 境界層 |
Research Abstract |
本研究課題は、プラズマ物理に現れる双曲-楕円型非線形偏微分方程式系に対する時間大域的可解性と、解の漸近挙動を解明することを目的としています。とくに、ボーム・モデルと呼ばれるオイラー方程式とポアソン方程式の連立した双曲-楕円型方程式系を主な研究対象としています。ボーム・モデルに対するこれまでの研究では、プラズマ物理学でシース(鞘)と呼ばれる境界層は、数学的には半空間上の平面定常解と理解される現象であることを示し、シース形成の条件として知られていたボーム・シース条件が、定常解が存在して漸近安定になる為の十分条件であることを証明しています。さらに、線形化方程式を解析することで、ボーム条件はまた必要でもあることを示唆する結果も得られています。また、初期条件に応じた定常解への収束の速さも求めました。 これらの研究を発展させ、プレ・シースと呼ばれるシースとプラズマつなぐ中間領域は、ボーム・モデル対して電位準中性を仮定して得られる双曲型方程式系(ラングミュア・モデル)の希薄波に対応することが、時間大域解が存在した場合に解の取りうる漸近状態を解析することで明確になりました。一方、数値計算による解析では、この結果は空間次元が2以上で初めて成立し、空間次元を1とした場合には特殊な初期条件以外では成立しないことを示唆する結果も得られました。したがって、空間次元を1とした時、解は有限時間で爆発し時間大域的には存在しないことが予想されます。こうした空間次元に応じた解の挙動の違いを解明し、空間次元が2以上ならば漸近挙動が定常解で与えられることの証明が重要な課題の一つとなります。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プレ・シースに対する研究の成果として、空間次元に応じて解の挙動が異なることを示唆する結果が得られています。また、数値解析を用いた研究にも着手し、過去の研究で頻繁に用いられていた幾つかのスキームと比較して、ローにより発案されたスキームを用いた方がより良い精度が得られることが分かりました。また、双曲-放物方程型の一般的な方程式系を使う準備として行った双曲-放物方程式系でも新しい成果を得ました、この手法はボーム・モデルを含む一般的な双曲-楕円型方程式系の研究にも応用可能だと考えられます。
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Strategy for Future Research Activity |
プレ・シースと呼ばれるシースとプラズマつなぐ中間領域は、ボーム・モデル対して電位準中性を仮定して得られる双曲型方程式系(ラングミュア・モデル)の希薄波に対応することが、解の取りうる漸近状態を解析することで示されています。一方、数値計算による解析では、この結果は空間次元が2以上で初めて成立し、空間次元を1とした場合には成立しないことを示唆する結果も得ら、空間1次元では、解が爆発し大域解が存在しないことが予想されます。こうした、この空間次元に応じた解の挙動の違いを数学的に解析し、シースからプラズマに至る遷移の様子を解明する研究を継続します。 双曲-放物方程式系の研究では定常解の漸近安定性が示されています。この研究で開発した手法を応用して、一般的な双曲-楕円方程式系に対する研究に着手する予定です。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費の使用計画では、幾つかの国際研究集会を日本国内で主催し、本研究課題に関連する研究者を海外から招待し、その旅費の援助を行う予定です。とくに、プラズマの方程式の数学解析は欧米など海外で盛んであるため、こうした研究者との交流し、最新の研究成果に触れることは本研究課題の推進を円滑ならしめると思われます。また、関連する研究を行っている海外の研究者を個別に招待し、研究上の議論を行う予定です。
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