2013 Fiscal Year Annual Research Report
時間分解超解像度顕微分光法による光合成膜内で指向性を持つ励起エネルギー流の可視化
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23654151
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
杉崎 満 大阪市立大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (20360042)
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Keywords | 顕微鏡 / 光合成 |
Research Abstract |
光合成は,地球上に降り注ぐ太陽光エネルギーの実に50%を有効利用する,自然が創造した最高の光エネルギー変換機関である.光合成細菌において,この初期過程を担うのは,光合成膜中に規則正しく配列した5~10ナノメートルのアンテナ色素蛋白超分子複合体という天然のナノデバイスである.本研究では,色素蛋白複合体間を励起エネルギーが伝搬していく様子を可視化するための手法の開発を目標としている. 前年度までの研究期間において,プロトタイプとなる自家製の超解像度顕微鏡を構築を終え,従来の蛍光顕微鏡法を上回る空間分解能を達成することに成功していたが,更なる精度向上が必要となっていた.そのため本年度は,顕微鏡に用いる光学部品について再度検討を加えるとともにデザインの変更を行うことにより,装置の安定化を図った.また高感度の検出器を導入することにより,ノイズの低減を図った.この検出器の導入により,測定時間の短縮が可能となり,その結果,生体試料の劣化を低減することにもつながった.以上の改良により,昨年度よりも空間分解能がおよそ60%向上した.ただし,ここで見積もった空間分解能は,依然として用いた電子部品の性能に制限されているために,実際にはもっとよいことが期待される. 本年度の研究により,目標としていた超解像度顕微鏡の構築を終えるとともに,空間分解能を更に向上させる方法も明らかとなった.今後の研究により,さらに高精度の顕微鏡の開発につながっていくものと思われる.本年度得られた指針を基に,研究を継続し発展させていく予定である. 用いた試料については,光合成試料に近い電子状態と波長領域を持つ標準試料を中心に研究を進めてきた.目的としていた光合成試料に関するデータについては,今後さらに収集していくことが必要であると考えている.
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