2011 Fiscal Year Research-status Report
プラズマ支援燃焼を用いたエアロスパイクによる流体制御
Project/Area Number |
23654205
|
Research Institution | Nippon Institute of Technology |
Principal Investigator |
服部 邦彦 日本工業大学, 工学部, 准教授 (90261578)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 杉弥 日本工業大学, 工学部, 准教授 (00286022)
塚林 功 日本工業大学, 工学部, 教授 (30049720)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | プラズマ支援燃焼 / 流体制御 / エアロスパイク / 大気圧放電 |
Research Abstract |
本研究の目的は、飛行体(移動体)の熱負荷や空気抵抗を抑制するためのエアロスパイクや飛行翼表面の境界層を制御するプラズマを用いた気流制御を行い、高速気流中における空気力学効果を実験的に検証することである。ここで提案する方法は、移動体の前方に非金属エアロスパイクとも呼ばれる局所的な熱源プラズマを生成した上にさらにマイクロ波による追加熱を行い放電領域を拡大するプラズマ支援燃焼を付加する。これによって、プラズマと中性粒子流の相互作用領域を拡大し高速気流中でのプラズマ生成・制御および空気力学効果について調べる。 このため、本年度はプラズマ源の整備にあたり大気圧中でのプラズマ生成およびマイクロ波源を用いた低気圧下でのプラズマ生成を行った。大気圧プラズマ生成は、セラミック製絶縁管の外部と内部に電極を挿入し誘電体バリア放電を行い定常放電を維持した。電源は、高圧パルス電源装置を用いた。この電源は、10kHの高電圧パルスを発生させることができ容易に大気圧下でもプラズマを維持できる。実験では、10kV程度でバリア放電が確認できた。気流とプラズマの相互作用を見るため、放電部に風速5m/s程度の気流を流した状態では放電プラズマに可視的な変化は見られなかった。 また、大気圧下でも従来の静電プローブ法で測定できるかどうか火炎燃焼炎中の弱電離プラズマを用いて測定を試みた。測定されたプローブの電圧・電流特性は、低気圧下でのプローブ特性と類似していることが確認できた。 放電プラズマに重畳するマイクロ波発振源は、市販されている電子レンジのマグネトロン出力を利用し、まずは低気圧下での実験を行った。マグネトロン出力(300~500W)を導波管で導き真空容器内に放射した。真空容器は油回転ポンプで排気し、ガス(空気、ヘリウム、アルゴン)の導入によりプラズマ放電を確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度および研究期間全体の交付額を考慮し、当初予定していたマイクロ波電源およびその電源の付属部品の購入をやめ、マイクロ波源を安価に自作することにした。その方法として市販の電子レンジ用マグネトロンを用いた追加熱法に変更した。それに伴い加熱源の準備に時間がかかってしまった。当初、アーク放電での実験を行おうとしていたが、より大気圧中でも安定にプラズマが維持できる方法として誘電体バリア放電による誘電体表面でのプラズマ生成・維持を試みた。 初年度計画としてプラズマ源形状および放電方法の最適化を行いたかったがそこまでには至らなかった、しかし、プラズマ生成維持の実施を行い大気圧中でのプラズマ生成は実現できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に得られた結果をさらに精査し、プラズマ源の形状および放電方法(アーク放電または誘電体バリア放電)を検討する。そして、このプラズマ源にマイクロ波を重畳するためのマイクロ波源の開発を行い放電領域の拡大を図る。さらに小型風洞実験器を製作し、プラズマ源本体により空気流を乱さないような形状を計算機を用いた流体設計によってカバー形状を決定する。 また、プラズマ周辺部の流体計測を行うため小型ピトー管やワイヤースモーク法の計測器を整備する。プラズマは、レーザ干渉計または静電プローブ法による密度分布測定やCCDカメラによる可視光分布測定を行う。これらの実験から、プラズマと中性粒子流の周辺観測を行う。 平成24年度中に行う実験に加え、吊り下げ式空力抵抗測定器の製作を行い、プラズマ発生の有無による飛行体が受ける抵抗の違いを測定する。これは、プラズマ電気推進機の推力測定に利用する方法を応用したものである。飛行体モデルをくさび型の支持台に吊り下げ、空気による抵抗を受けるとその量に応じて飛行体が押される。この変位を高精度・高応答のレーザ変位計を用いて測定しその変位量から空気抵抗を見積もる。そして、プラズマの有無による空気抵抗の違いを検討する。 これらで得られた結果を取りまとめ、成果の発表を行う。測定器の製作は、研究代表者(服部)がおこない、これまでの一連の研究結果の検討は全員で行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
大型備品の購入はないが研究費の主な使用内訳は、H23年度中に実施する研究計画が遅れたための研究費の残額とあわせ、未完成であるプラズマ源の製作およびマイクロは源の開発のために電極材、絶縁材、金属材料などの消耗品費にあてる。さらに、小型風洞の製作のために金属材料、電気部品・材料の消耗品にあてる。 旅費としてプラズマ・核融合学会や電気学会に参加し発表および情報収集にあてる。
|