2012 Fiscal Year Research-status Report
プラズマ支援燃焼を用いたエアロスパイクによる流体制御
Project/Area Number |
23654205
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Research Institution | Nippon Institute of Technology |
Principal Investigator |
服部 邦彦 日本工業大学, 工学部, 准教授 (90261578)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 杉弥 日本工業大学, 工学部, 准教授 (00286022)
塚林 功 日本工業大学, 工学部, 非常勤講師 (30049720)
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Keywords | プラズマ支援燃焼 / 流体制御 / エアロスパイク / 大気圧プラズマ |
Research Abstract |
本研究は、飛行体(移動体)の熱負荷や空気抵抗を抑制するために、プラズマを用いたエアロスパイクの生成や移動体表面の境界層の気流制御することを実験的に検証することである。特にここで提案する方法は、従来から研究が進められている飛行翼表面に誘電体バリア放電を用いて境界層を制御し飛行体の失速などを防ぐような研究だけでなく、移動体前方にプラズマを用いた放電層を形成し非金属エアロスパイクとも呼ばれる局所的な熱源プラズマを生成した上にさらにマイクロ波による追加熱を重畳し放電領域を拡大しその効果を調べる。これらの効果により移動体が受ける空気抵抗がどう影響するかを実験的に検証することを目的としている。このために必要な開発要素として、1.大気圧プラズマ放電の生成・維持、2.マイクロ波重畳によるプラズマ放電領域の拡大・維持、3.風洞による空気抵抗測定・評価 がある。 これまでに、大気圧プラズマ放電は高周波パルス電源を使用し誘電体バリア放電を行いプラズマ生成および維持ができた。ほかに、ネオントランスを用いた火花放電による間欠的なプラズマ源の製作も行った。今回この放電部には一般的に市販されている点火プラグを使用した。マイクロ波重畳によるプラズマ実験は、大型の金属円筒容器(内径0.7m、長さ0.6m)を整備しマイクロ波が周囲に漏れないようにし、先のプラズマ源にマイクロ波(最大1.5kW)を照射したがプラズマ放電領域の拡大が見られなかった。これは自由空間中でマイクロ波を放射したため放電部に十分なパワーが吸収されていないことと、プラズマ放電部の電流が小さいのが原因でないかと思われる。 さらにこれと並行し簡易型小型風洞を自作しテスト領域20cmで最大風速20m/sが実現できた。この風洞を用いて先の誘電体バリア放電ならびに火花放電を行った結果、最大風速に対して見かけ上は大きな変化は観測されなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成23年度に実施した自作の安価な電子レンジ用マグネトロン発振器の追加熱の試みは、マイクロ波出力の制御および出力値(公称最大出力800W)の曖昧さがあり実験に使用することを断念した。この発振器を使用し低気圧中でのプラズマ生成は確認できたが、大気圧中でのマイクロ波重畳実験ではプラズマに与える影響を確認することができなかった。プラズマ放電領域の拡大もみられなかった。 そのため、平成24年度の交付額を考慮し新たにマイクロ波電源(トランス方式,最大出力1.5kW)を購入した。この発振器は、連続発振ではないが出力を可変(0~1.5kW)にできる上、出力値のモニターもできるため前年度の発振器よりも制御しやすい。さらに、自由空間中にマイクロ波を放射するので安全のために大型金属容器(既存)を改良整備した。この整備作業を行い実験の再現性、曖昧さ、最大出力の増加などの改善を図ったが、プラズマ放電領域の拡大・生成を試みたが未だうまく実現していない。 結果としてこれらの実験検証および整備に時間がかかってしまい当初計画予定より遅れることになってしまった。 これと並行して小型風洞の製作は予定どおり完成したが、空気抵抗を測定する測定装置の設計は行ったが、測定装置は未完成である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は最終年度であるが、平成24年度に得られた結果や問題点を精査し、昨年度来の課題であるマイクロ波重畳によるプラズマ放電領域の拡大実現に向けて実施するとともに、風洞を用いた実験を行うためのプラズマ源の形状の検討および、風洞実験による空気抵抗測定を行う。これらは、最終的には同時に実施しなければ当初の研究目的を達成できないが、同時干渉しない実験なので並行して進めていく。そして両者の結果を最後に組み合わせ当初研究目的を達成するために努力する。 具体的には、1.プラズマ源の形状の検討、2.プラズマ放電部の電流制御、3.マイクロ波重畳によるプラズマ放電領域の拡大、4.空気抵抗測定器の製作および測定、5.マイクロ波重畳によるプラズマ放電と風洞実験の課題が残っている。このうち、項目1、項目4は並行して進めることができる。項目4については、空気抵抗を機械的な微少変位計と組み合わせ抵抗力の微少変化量を測定する。このような測定法はこれまでになかったので、製作した測定器の実際の測定精度がどうなるかが課題となる。項目2、項目3はプラズマ放電の電流増加のために給電電源回路を整備する必要がある。また、マイクロ波重畳によるプラズマ放電領域の拡大実験は、放電部にマイクロ波が効率よく吸収させるためにキャビティ―を導波経路に設置するなどを考えている。項目5は、先の項目1~4の各部の問題点を解決できればスムーズな実験に移行できるものと思われる。 さらに次年度は、最終年度であるため、これらの研究結果をまとめる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初計画どおり大型備品の購入はない。研究費の主な使用内訳は、実験を遂行する上で、プラズマ源の製作改良、放電実験装置の整備など絶縁材料、電極部品、金属材料などの消耗品にあてられる。また、旅費としてプラズマ・核融合学会や電気学会、応用物理学会に参加し成果発表および情報収集にあてる。また、次年度は最終年度であるため成果報告の印刷費などにもあてられる。
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