2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23655137
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
古川 貢 分子科学研究所, 物質分子科学研究領域, 助教 (90342633)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 機能性物質 / 光誘起機能性 / 時間分解ESR / ESRイメージング |
Research Abstract |
機能性分子を利用した分子性デバイスの開発において,機能性効率の向上は危急な課題の一つである.本課題の目的は,時間・空間分解ESRを用いて,電子スピンの空間情報を兼ね備えたスピンダイナミクスという観点から機能性発現メカニズムを解明することにある.まず,機能性固体物質において,機能発現時の時間分解ESR測定可能な物質の探索を行った.TTF光誘起伝導性物質においては,機能発現時に生成される電荷分離状態を直接観測することができた.またアルケンリンカーが長い方が電荷分離状態の寿命が長いことが明らかになった.中でも,TTF-pyrene系が最も長い寿命を示しており,時間・空間分解ESR測定の条件を満たしていると言える.しかしながら,シグナル強度が十分とは言えず,測定に膨大な時間を有することも考えられるので,引き続き探索は必要である.また,時間・空間分解ESR測定を見据え,単結晶での測定を試みた.しかしながら,光照射方法や光ファイバーそのものの信号といった問題があり,現段階では,信号を得られていない.特に,光ファイバーにて試料直近まで光を導入する予定であったが,石英ファイバーでさえ,無視できない大きさの時間分解ESRシグナルが観測されることが明らかになった.角度変化機構についても,光ファイバーを回転軸とする予定であったために,同様の問題がつきまとう.材質の変更,照射方法の変更などを踏まえて現代対処方法を検討中である. また,磁場勾配コイルの制作を計画し,現在,業者との設計について相談を行っているところである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
時間分解ESR測定に耐えうる光誘起機能製物質の探索という点では,ある程度の目処がたったといえる.現段階までに,結晶サイズやバックグラウンドの問題により,単結晶での時間分解ESR測定までは成功していない.試料サイズという点では,スピンコーティングなどによる薄膜化という手段も検討している.またバックグラウンドに関しては,素材変更,光照射方法の変更などを検討中である.
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Strategy for Future Research Activity |
本課題を遂行していく上で,上記に示した問題点の改善が急務であり,全力で改善策を検討する予定である.特にバックグラウンドの問題は大きな問題であり,回避する必要がある.この影響もあり,本年度に作製予定であった磁場勾配コイルの作製に若干の遅れがあり,現段階で業者と設計の打ち合わせ段階である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記に示したとおり,業者とのコイルの仕様,および固定方法などの綿密な打ち合わせを本年度内すませ,執行する予定である.
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