2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23655137
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
古川 貢 新潟大学, 研究推進機構, 准教授 (90342633)
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Keywords | 機能性物質 / 光誘起伝導性 / 時間分解ESR / ESRイメージング |
Research Abstract |
本課題の目的は,時間・空間分解ESRを用いて,電子スピンの空間情報を兼ね備えたスピンダイナミクスという観点から機能性発現メカニズムを解明することにある.研究方針として,高効率な光誘起伝導性物質の探索・解明,および,時間・空間分解ESRシステムの開発を平行して行ってきた.昨年度までに,亜鉛フタロシアニンをドナーとし,ナフタレンビスジカルボキシイミド(NDI)をアクセプターとした,ドナー・アクセプター型共有結合性有機骨格構造(ZnPc-NDI-COF)において,時間分解ESR測定により電荷分離状態を捕らえられることを明らかにしてきた.本年度は,前半部分のテーマとして,より詳細なメカニズムの解明を試みた.得られた時間分解ESRスペクトルの線形解析を行った結果,励起3重項状態を経由して電荷分離状態が形成されることが明らかになった.また,その寿命に関しては,ZnPcとNDIの二面角に大きく依存することが明らかになった.ZnPcが光励起された後,励起3重項状態を経由して,ZnPcからNDIへと電子移動して電荷分離状態が形成される.その後,ZnPcとNDIとの軌道の重なりが充分に確保されている場合には,速やかに再結合されるために寿命は短くなり,重なりが小さい場合には,寿命が長くなることを明らかにした.後半のテーマとして,時間・空間分解ESRシステムの開発した. 磁場勾配コイルを導入することで空間分解ESRシステムを構築することを目的とした.スペースの関係で,X,Y軸磁場勾配コイルを導入することは断念せざるを得なかったが,Z軸磁場勾配コイルを作成し,磁場勾配型の空間分解ESR測定システムを構築した.また,時間・空間分解ESRシステムの構築は完了したものの,目的に対して十分な空間分解能ではない.今後,磁場勾配コイルのさらなる改良が必要である.
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