2011 Fiscal Year Research-status Report
マイクロ抗体:進化分子工学による分子標的ペプチドの創出
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23655161
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
藤井 郁雄 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (70189984)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
円谷 健 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (00372855)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | ペプチド / 進化分子工学 / ファージライブラリー / 抗体 / 分子標的医薬 / 試験管内進化法 |
Research Abstract |
本提案では,抗原性のない,低分子性の抗体様物質の開発を提案する。抗体様物質とは,IgGを利用せず,特定の標的抗原に対して特異的に結合するペプチドのことであり,「マイクロ抗体」と名付ける。このマイクロ抗体は,強固な立体構造をもつペプチドで,ヒトに投与しても安定であり,かつ低分子量のため抗原性を示さない。すなわち,抗体の機能を低分子ペプチドで実現する。本研究では,試験管内進化法とタンパク質構造構築理論とを組み合わせることにより,IgGとは全く異なる構造モチーフをもつマイクロ抗体の分子ライブラリーを構築し,抗体に代わる分子プローブや分子標的医薬の開発を行う。本年度は,すでに獲得に成功しているG-CSF受容体結合性ペプチドを用いて,マイクロ抗体の潜在能力を評価した。(1)G-CSF結合性マイクロ抗体の機能解析と生体内安定性:G-CSF結合性マイクロ抗体を固層法によりペプチド合成し,CDを測定したところ,安定なα-ヘリックス構造を持つことが判明した。また,マイクロ抗体のN末端とC末端とをジスルフィド結合によって架橋した環状ペプチドを合成したところ,ヘリックス構造がさらに安定化された。さらに本マイクロ抗体の血清中での安定性を検討したところ,半減期が2週間であることが判明した。(2)マイクロ抗体の抗原性試験:マイクロ抗体をマウスに検疫し,抗原性が無いことを確認した。(3)マイクロ抗体の膜透過性の検討および膜透過性ペプチドの導入 :マイクロ抗体を蛍光分子(FITCなど)で化学修飾し,共焦点顕微鏡により,細胞膜透過性を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,G-CSF受容体結合性ペプチドを用いて,構造,生体内安定性,抗原性,細胞膜透過性を検討し,マイクロ抗体の潜在能力を評価した。その結果,マイクロ抗体が抗体に代わる分子標的化合物であることを明らかにした。従って,当初の計画をほぼ順調に遂行することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は,本マイクロ抗体・ライブラリーをインターロイキン5受容体(IL-5R),インターロイキン6受容体(IL-6R)さらに,血管内皮増殖因子(VEGF)に適用し,各標的タンパク質結合性のマイクロ抗体を取得する。このような一連の研究からマイクロ抗体の開発法を確立する
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度行ったペプチド合成が,順調に進んだため次年度に繰り越す研究費が生じた。そこで,新たにマイクロ抗体の誘導体を合成し,構造-活性相関を検討する。その遂行のために,前年度繰り越した研究費を使用することとした.
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