2011 Fiscal Year Research-status Report
コンクリート内部を多重伝播する弾性波の複雑性に着目した劣化評価法
Project/Area Number |
23656280
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
服部 篤史 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30243067)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大島 義信 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10362451)
野村 泰稔 立命館大学, 理工学部, 助教 (20372667)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 弾性波 / 複雑性 / 評価 / コンクリート |
Research Abstract |
コンクリート中を透過する弾性波のカオス性を検討するために,白色雑音との識別,有色雑音との識別,そして白色・有色雑音の疑似的なカオス的振舞いとの識別,の3つを行った.実験では,10x10x40(cm)のコンクリート供試体に対称法にてパルス波を入射し,その透過弾性波をカオス解析した.また,区間ごとの結果の違いを評価するために,波形データは200データずつ区切った上で解析を行った.次に,カオス時系列解析の指標と,コンクリート内部の要因との対応関係を評価するため,得られたデータに対してカオス時系列解析を行った.ここでは,いくつかの要因を変化させたコンクリート供試体およびセメントペーストとガラス球骨材を用いたモデル供試体を用いて,リアプノフ指数,相関次元などを計算した.その結果,コンクリートの透過弾性波は,ある程度振幅の大きな部分においてはカオス性をもつ可能性が高いことがわかった.また,リアプノフ指数の値は,骨材配置などの幾何学状態ではなく,透過波形の周波数(スペクトル重心)に高い相関があることがわかった.また,コンクリート供試体と,セメントペーストとガラス球を用いたモデル供試体との間では,相関次元の値に差が生じることがわかった.また,解析に用いるデータ区間長による解析結果への影響は小さいが,とる区間によって各種特性値が変化することが明らかとなった.そのため,今後はデータ区間の検討を行う必要がある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コンクリート中を透過する弾性波を取得し,カオス時系列解析を行った結果,コンクリートの特性や品質に応じてカオス特性も変化することが明らかとなったが,時系列上のどの部分を評価するかによって結果が異なったため,さらなる検討が必要となった.
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Strategy for Future Research Activity |
弾性波の透過特性をより明確にするため,数値シミュレーション上での検討を行う.また,複雑性のみならず,干渉波としての物理現象に基づく評価を行っていく.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
追加実験,およびシミュレーションソフトの購入などを予定.
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