2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23656417
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吉川 昇 東北大学, 環境科学研究科, 准教授 (70166924)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 鉛含有ガラス / マイクロ波 / 酸侵出 / 反応速度 / 誘電率 / 加熱 / 分析 / 侵出残渣 |
Research Abstract |
近年、薄型テレビの出現により旧来のブラウン管は廃棄される傾向にある。今年から地上デジタル放送が開始すると、廃棄は更に加速する。ブラウン管用ファンネルガラスは鉛を含むため、廃棄には脱鉛が必要である。本研究はマイクロ波加熱を利用した鉛の迅速酸 浸出を行い、ガラスの廃棄/再利用を可能にする。近年、プラズマ発光分析(ICP)試料の作成には、被分析物質を迅速溶解できるマイク ロ波ダイジェスチョン装置が一般的に使用されている。これは密封系小容器で行われるバッチプロセスである。本研究ではこの原理を解明するとともに、溶液を循環させる方法により大気系で大量処理を行う方法を提案し、その可能性を調べることを目的とする。 また浸出反応においては、溶液の誘電率変化がマイクロ波の浸透距離を決定するが、被溶解物質であるPbガラス自体がマイクロ波加熱されるか否かということが、浸出反応速度において重要な因子となる。このようなことから、両者の誘電率を測定する必要が有る。またマイクロ波加熱に伴い、試料温度の上昇が生じるが、これに伴って誘電率が温度によりどの程度変化するか測定する必要がある。この目的のため、高温(<700℃)までの誘電率を測定するための装置を自作している。この目的のため本助成金から材料費を使用した。マイクロ波高温誘電率の測定に関しては、技術的に困難な点が多く、高周波技術者からの情報収集の目的から旅費の支出も行った。このように平成23年度は、実験装置の準備を行うとともに種々の実験条件設定を行った。また侵出残渣の評価の目的のため、残渣の観察を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成23年度においては、震災の影響のため、プレバブへの移動があり、実験の立ち上げ等に時間を要した。また研究のスタート時点では装置準備に関して予想していなかった不具合があった。このため、当初予定より研究の進行が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
マイクロ波の浸透距離を考えると、そして溶液を循環するによりマイクロ波の印加を局所的に集中して行うのが効率が良い。これまでの実験結果より、温度が高すぎても浸出速度が減少するため、種々の実験方法によって、マイクロ波印加効果と温度上昇効果に及ぼす圧力や諸条件(酸濃度、Pbガラス粒径、浸出時間など)を見定め、大気圧でも可能な温度と浸出速度の条件の設定を行う。また、鉛ガラスや溶液のマイクロ波加熱特性を評価する目的から、誘電率の測定を行う予定である。更に、上に述べた理由から、4種類の浸出速度実験比較に関しても次年度執り行なう予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験装置に関する備品に関しては、ほぼ設備が完了しているため、主に消耗品、薬品等の購入が必要となると考えられる。また、実験補助およびデータ整理の目的から学生に謝金を支払いたいと考えている。また、国内における学会(日本金属学会、日本鉄鋼協会、電磁波エネルギー応用学会)出の成果発表、および平成24年7月に米国ロングビーチで開催されるマイクロ波応用に関する国際会議GCMEA-2に出席し、成果発表および情報収集を行う予定である。次年度使用額は、当初予定していた「4種類の浸出速度比較実験」を次年度に延期したことによって生じたものであり、次年度以降に実施する「4種類の浸出速度比較実験」に必要な経費として平成24年度請求額とあわせて使用する予定である。
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