2012 Fiscal Year Annual Research Report
構造信頼性手法を用いた設計荷重設定方法に関する研究
Project/Area Number |
23656549
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
飯島 一博 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50302758)
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Keywords | 構造信頼性 / 設計荷重 / 不規則波 / FORM / 複合荷重 / リスク工学 |
Research Abstract |
Jensenの提案した構造信頼性理論FORMによる設計荷重設定手法を拡張的に用いて,複合的な線形・非線形荷重に対する設計荷重と船体縦曲げ崩壊の崩壊量を最大にする設計荷重を導出することを本研究の目的としていた.具体的な課題項目として,(1)分布が重要な設計荷重への適用性の検討,(2)非線形な複合荷重への適用,(3)累積性のある非線形崩壊問題への適用,を揚げていた.各項目について概ね当初の予定通りか,それ以上の成果を上げることができた. (1)の課題についてはコンテナ船の曲げ捩じり設計荷重への適用を検討し,今回用いたFORMによる手法で得られた曲げねじ強度評価のための捩じりモーメントの分布形状が,船級協会の提案している曲げ捩じり強度確認のための設計荷重の分布形状とよく一致していることを確かめた.このことによってFORM手法による設計荷重開発への適用性の確認ができた. (2)の課題に関して,非線形複合応力の典型例であるミーゼス応力を例にとり,FORMによる手法で設計不規則波時系列が得られるかどうかを検討した.その結果,ある確率レベルのミーゼス応力の極値を生じさせる不規則波時系列の生成に成功した.従来困難であった,非線形複合応答のための設計不規則波の設定方法を与える成果である. (3)の課題に関して,極限波浪中の船体縦曲げ崩壊の問題について,リスクを最大化するような不規則波時系列の設定を試みた.ここでリスクは短期海象中の累積的な崩壊量に確率を掛けたものであるとしてモデル化を行った.その結果,リスクベース設計の観点から,船体縦曲げ崩壊について最も重要な事象は複数の極限的な波浪中における累積的な崩壊よりも,むしろ一発の大波であることを明らかにした.リスク評価の際のシナリオ作りにも役立つ成果である,といえる.
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