2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23656574
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松浦 秀明 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50238961)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中尾 安幸 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00164129)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 高温ガス炉 / トリチウム / 核融合炉燃料 / Li化合物 |
Research Abstract |
初期核融合炉用トリチウムを確保し、また、2台目以降の核融合炉導入を容易にするために、外部トリチウム供給源を準備しておくことは重要である。高温ガス炉は、第4世代原子力システムの有力候補のひとつであり、安全性の高いシステムと位置づけられている。高温ガス炉の耐熱(低発熱密度)設計は、燃料近くにLi化合物を装荷するスペースを提供する。黒鉛減速・ヘリウム冷却系は不要な中性子吸収を抑える。燃料の高燃焼度化を念頭においた設計方針、固体可燃性毒物(BP)を均等に配置することによる反応度抑制設計は、核変換性能を高める。本研究では、高温ガス炉を用いたトリチウム生産を提案し、その性能を数値的に評価することを目的とした。 「高温ガス炉ガスタービン発電システム(GTHTR300)」概念設計炉をベースとした。初年度は、GTHTR300オリジナルの設計をできる限り遵守して、トリチウム生産性能を概算することを目標とした。連続エネルギーモンテカルロ燃焼計算コード(MVP-BURN)を用い、複数のLi化合物装荷を想定して全炉心燃焼計算を実行した。 GTHTR300においてBPとして使用が想定されているB化合物の代わりに、Li化合物を装荷することを提案した。BP孔にLi化合物を装荷した場合は、180日間の運転において、Li化合物の種類に応じ300~700g(3GW熱出力相当のモジュール炉に換算して年間3~7kg)程度のトリチウム生産が可能であることがわかった。反応度に余裕がある場合は、燃料の濃縮度を若干下げて運転をおこなうことで、トリチウムの生成速度を高めることが可能であることも示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初年度の目標として想定した、GTHTR300オリジナルの設計をできる限り遵守した場合のトリチウム生産性能を把握することはほぼ達成できたと考えている。高温ガス炉のトリチウム生産炉としての特徴を把握するためには、他の炉型との比較も重要である。他の炉型を想定した計算は、当初次年度に実行することを予定していたが、研究の流れ上、前倒しして開始した。 最適化に関しては、Li化合物の配置・化合物の選び方による影響、燃料濃縮度との関係、炉心温度の影響に対して、当初の予定通り、だいたいの傾向を把握することができた。運転シナリオに関しては、もう少し具体的なシナリオを想定した解析をおこなう必要がある。 総合的に考えて、予定より少し進んだ状態で順調に研究が進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定どおり、連続エネルギーモンテカルロ燃焼計算コード(MVP-BURN)を用いて、他の炉型(軽水炉、高速炉、溶融塩炉)に対しても比較を目的とした計算を進める。当初は、GTHTR300の設計を遵守し、生成されたトリチウムをバッチ処理で回収することを想定して、研究を実行する予定であった。他の研究者や共同研究者との議論をもとに運転シナリオを検討する中で、当初の計画をさらに進めて、冷却材としてのヘリウムガスを用いたトリチウムの連続回収を想定した場合についても、炉心計算を進めることにした。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
得られた結果を広く公開し、多くの関連の研究者に意見を頂くことが必要と考えている。特に、GTHTR300の炉心に変更を加える場合は、高温ガス炉の開発に携わる研究者と議論をおこないながら、検討を進める必要がある。今年度は、研究成果の発表を積極的におこないながら、できるだけ議論の場を多く設ける努力をしたいと考えており、そのために研究費を使用する予定である。
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