2012 Fiscal Year Annual Research Report
超高エネルギー加速器施設における放射性エアロゾルの挙動追跡とその生成機構の解明
Project/Area Number |
23656589
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
柴田 誠一 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (80110708)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関本 俊 京都大学, 原子炉実験所, 助教 (10420407)
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Keywords | 放射性エアロゾル / 放射線工学 / ビーム科学 |
Research Abstract |
運転中の加速器室内では、二次的に発生した中性子などの放射線により、放射性エアロゾルが発生する。この放射性エアロゾルの生成機構の解明、その粒径分布の情報は内部被ばく線量評価の観点から重要であるが、これまでの放射性エアロゾルの種類、生成機構に関する研究やエアロゾル発生時の粒径分布、エアロゾルとガスの比率に関する研究は、ビームエネルギーが数10 MeV~100 MeVまでの加速器を用いてなされているのみで、測定できる放射性核種が非常に少なく、十分な議論がなされているとは言えない状況にある。このような議論を可能にするために、さらに高エネルギーの加速器施設での実験が望まれていた。 我々は、米国フェルミ国立加速器研究所(FNAL)の120 GeVの超高エネルギー陽子を、インコネルターゲットに入射し、反陽子を生成している反陽子ターゲットステーション(AP0)において、生成した放射性エアロゾルを分級して捕集し、そこに含まれる核種及び粒径の分析を行った。その結果、Be-7からAu-198に至る14放射性核種を十分な統計精度で測定でき、それらの核種ごとに粒径分布、幾何中央径を求めることができた。そして、それらの中央径が既報の低エネルギー加速器施設で得られた結果よりほぼ1桁大きいこと、これらの核種の半減期と粒径に比例関係があるという非常に興味深い結果が得られた。この結果については、FNALでの複数回の実験によりその再現性も確認できている。 これまで、放射性エアロゾルの生成機構として、(1)エアロゾル粒子上への放射性核種の拡散付着、(2)放射性核種を含む化学種の粒子への凝縮、(3)放射性核種をイオン核とする粒子生成、の3つのモデルが考えられている。本実験で得られた結果については、(3)が最もよく実験結果を再現できると考えているが、矛盾点がないか現在さらに慎重に検討を進めている。
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