2013 Fiscal Year Annual Research Report
小胞輸送を介したフラボノイドの細胞外分泌システムの立証
Project/Area Number |
23657028
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中山 亨 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80268523)
|
Keywords | イソフラボン / ダイズ / 小胞 / 分泌 / 輸送 |
Research Abstract |
細胞内における膜を介した新規イソフラボン輸送経路の存在の解明のため,はじめに細胞生物学的な解析が容易なモデル系としてダイズの懸濁培養細胞系を構築した.その結果,植物ホルモンの濃度比を適切に設定することにより子葉由来のカルスから状態の良い懸濁培養系を確立することができた.この懸濁培養細胞系では,一つ一つの細胞が比較的ばらけて存在しており,一細胞の観察に非常に適した状態であった.継代8日目のエンレイおよびJack懸濁培養細胞のイソフラボン含量を測定したところ,含有するイソフラボンはほとんどがマロニル配糖体の形で存在し,ゲニステイン配糖体よりもダイゼイン配糖体が多いことが分かった.GenisteinやCoumestrol,Glyceollinは検出されなかった.この培養細胞はダイズ実生の子葉から誘導したものであるが,含有するイソフラボンの組成はダイズ実生の根に含まれるイソフラボンの組成と似ていた.エリシター処理を施したエンレイ培養細胞におけるイソフラボン・グリセオリン含量変化も測定したところ,イソフラボン含量は,エリシター処理2,5時間で急激に減少し,その後徐々に回復する挙動を示した.また,Glyceollinはエリシター処理10時間後から蓄積した.次に,ダイズのエンレイおよびJack品種の両方の子葉から安定した懸濁培養細胞系を構築し,アグロバクテリウム株によるエンレイ懸濁培養細胞の形質転換法を確立した.形質転換された細胞は,実体蛍光顕微鏡を用いてGFP蛍光の有無により選抜し,カナマイシンを含むMS寒天培地で継代,維持した.また,DPBAによる細胞内イソフラボノイド解析のプラットフォームを構築した.培養液中へイソフラボンを分泌する環境条件条件下で共焦点レーザー顕微鏡を用いて液胞を標識した培養細胞をライブイメージングするための系が確立された.
|