2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23657065
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
川窪 伸光 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (60204690)
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Keywords | 降雨 / 雨滴耐性 / 開花制御 / 開花生態 / 花 |
Research Abstract |
研究期間を通じて,「降雨に対抗する植物の開花適応戦略の解明」のため,野外におて各種の野生植物の蕾から開花,結実までの花器機能発現の全過程を,その外部形態変化を微気象環境と対応させて,様々な手法で,連続的に観察記録してきた。その結果,花という器官の天候への反応が,思った以上に複雑であることが解ってきた。多くの植物種は,降雨や天候に反応して,「開花制御」を明らかに行っていた。また,降雨に開いた状態の花がさらされている種の場合も,「雨滴耐性」も備えていると考えられた。現在,研究成果によって想定できる「開花生態における降雨に対抗する適応戦術」がある。たとえば, (a) 植物体が降雨の前兆を感知し,つぼみのまま開花しない戦術:この戦術の発生する生理的タイミングは,気象データを関連づけても不明な点が多かった。しかし,花粉や柱頭を濡らさないように機能する部分には多様性が確認できた。つまり,個花で降雨対抗する場合は,花弁もしくは萼の開閉によって,繁殖器(雄しべ・雌しべ)を包んだ。一方花序で対抗する場合は,総苞片や苞葉によって個花・小花を包んだ。 (b) 降雨時でも下向きに開花し,天候回復直後の送粉者を有効活用する戦術:いわゆる釣り鐘状の花冠をもつ種が典型的である。キキョウ科を代表するこれらの典型的タイプは,開葯が開花前から行われ,花粉を直接保護する構造はまったくない。つまり花冠が雨よけとなり,花粉や柱頭を濡らさない。 (c) 降雨にまったく無頓着で,降雨で花弁が物理的に破壊されようが開花し続ける:いわゆる数(開花数,葯数,花粉数)で,降雨による損失を補填するr戦略的降雨耐候性と理解できる。 これらがいかなる進化背景のもと成立してきたのかを整理しつつ,現在,戦術モデルを検討している。非常に貴重で充実した研究経験であった。
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Research Products
(3 results)