2012 Fiscal Year Annual Research Report
線虫初期胚細胞分裂を司るコンドロイチンプロテオグリカンの同定と機能解析
Project/Area Number |
23657093
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
野村 一也 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (30150395)
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Keywords | コンドロイチン / 減数分裂 / 体細胞分裂 / プロテオグリカン / 線虫 / モデル生物 / GPI アンカー |
Research Abstract |
私達は2003年のNatureの論文で、世界で初めて糖鎖(コンドロイチン)の合成が線虫初期胚の細胞分裂に必須であることを発見、これはマウス初期胚でも確認された。世界中でのコンドロイチンの細胞分裂制御機構の解明競争は、コンドロイチンが付加された蛋白質(コア蛋白質)が線虫固有のものだったため、見るべき成果を生まなかった。本研究では、哺乳類のコア蛋白質であるbamacan(cohesinのsubunitで細胞表面にも発現するmoonlight 蛋白質)の線虫版蛋白質(SMC3)が、細胞分裂でcohesinサブユニットとして働いた後に細胞膜へ移動し、細胞表面に核分裂の終了を告げて細胞質分裂へと誘導するという私達の仮説の検証を第一の目的として実験を行った。MosSCI法と従来法による遺伝子導入線虫による発現解析、網羅的RNAiやコア蛋白質候補の免疫沈降法等による同定、ネットワーク解析などを行った結果を以下にまとめる。 1) SMC-3がコア蛋白質であるという直接的証拠は得られなかった。免疫沈降後の質量分析結果の今後の詳細な検討が必要である。 2) コア蛋白質と関連遺伝子(him-4, cpg-1, cpg-2, rig-6, scc-3その他)の網羅的RNAi実験の結果、GPI anchor型蛋白質のRIG-6や、SMC-3と相互作用するSCC-3等がコア蛋白質となる可能性が高いことがわかった。 3) 大きな発見としてコンドロイチン合成は初期胚分裂のみならず、減数分裂(卵母細胞の形成)にも不可欠であることがわかった。 4) sqv-5と遺伝的に相互作用するsqv-7がacetyl-CoA トランスポーターと相互作用してコンドロイチン合成を制御する可能性が判明した。sqv-5は細胞分裂に関わるRAN-1などと相互作用しており、コンドロイチン合成の細胞分裂制御機構の解明のてがかりが得られた。
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