2011 Fiscal Year Research-status Report
新たな迅速活性化手法を用いた低分子量Gタンパク質下流シグナルの解析
Project/Area Number |
23657095
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
前濱 朝彦 国立感染症研究所, 細胞化学部, 室長 (40322755)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | シグナル伝達 / Gタンパク質 |
Research Abstract |
RIRAG(Rapamycin-Induced Rapid Activation of small GTPase)法は、mTOR-FRBドメインがラパマイシンを介してFKBP12と結合することを利用した、低分子量Gタンパク質シグナルの新たな活性化手法である。この手法では低分子量Gタンパク質(活性化型変異体)と共にサプレッサー分子を細胞内に発現させて、Gタンパク質からのシグナルを抑制しておく。その後ラパマイシンの添加によってサプレッサーを遊離させ、Gタンパク質シグナルを活性化させる。 平成23年度はCDC42をモデル実験系として用い、その下流シグナルの動態を解析した。その結果、RIRAG法によるCDC42シグナル活性化を行っても、アクチン細胞骨格制御系には大きな変動(細胞内局在の変化など)は認められなかった。この結果はCDC42経路以外のシグナル経路がアクチン細胞骨格制御系に必要とされている可能性を示している。その一方で、これまでCDC42下流に位置するとは考えられていなかったERKのリン酸化誘導がCDC42シグナルの活性化に伴って惹起されることが認められるなど新たなシグナル経路の存在を示唆する結果が得られた。さらにサプレッサー分子として従来から用いているNWASP-CRIB以外にもPAK1-CRIBなどを検討したが、PAK1-CRIBでは十分なサプレッサー作用が認められなかった。また、CDC42以外にもRalAをモデル実験系として用いるためにRalBP1-RBDおよびSec5-RBDをサプレッサーとして用いた解析系を構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CDC42下流シグナルの解析に関しては、予想に反してアクチン細胞骨格制御系の変動を検出することはできなかったが、様々なシグナル分子動態の解析からERK経路の活性化が新たに見いだされるなど、研究の進展があった。また、RIRAG法のCDC42以外の分子への適用に関しては、Rasファミリー分子の一つであるRalAに対するサプレッサー分子の構築を行うなど、おおむね順調に計画が遂行されていると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究実施計画の通り、平成24年度はRalAをモデルとして用いたRIRAGによるRalA下流のシグナル解析を中心に行う。必要に応じてRalBP1-RBDおよびSec5-RBDを用いたサプレッサー分子の改良も行う。また前年度の研究において、CDC42の下流でERKの活性化が起こることが見いだされたことに着目し、CDC42からERKに至るシグナル経路の解析も併せて行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度と同様、研究費は主に物品費として使用する。一部はシークエンス解析等にも用いる。また研究成果の発表のため、1~2回の国内出張を予定している。なお前年度内に使用しなかった研究費が若干(7,666円)あるが、これは平成24年度の物品費として使用する予定である。
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