2012 Fiscal Year Annual Research Report
fosB遺伝子の選択的スプライシング産物による脳機能制御機構の解明
Project/Area Number |
23657116
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中別府 雄作 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (30180350)
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Keywords | 成体脳神経新生 / 最初期遺伝子 / 選択的スプライシング / 側頭葉てんかん / うつ病 / 海馬硬化 / 遺伝子発現プロファイリング / AP-1転写因子 |
Research Abstract |
Fosb遺伝子産物については,全長タイプのFosb mRNAからFOSB/vFOSBが翻訳され,エクソン4の1部を欠くΔFosb mRNAからはΔFOSB/Δ2ΔFOSBが翻訳されることがin vitroで報告されている。本年度は,まず昨年度樹立したΔFosb mRNA 欠損マウスの解析から,Fosb mRNAがFOSBとvFOSBをコードすることをin vivoで証明した。Fosb 遺伝子完全欠損マウスでは海馬歯状回における神経新生が顕著に低下しているが,Fosb mRNA 欠損マウスの解析から海馬における神経新生はFOSB/vFOSBを欠損した状態,すなわちFOSB/Δ2ΔFOSBのみ発現する状態で定常状態の神経新生が野生型マウスよりもわずかながら上昇する事が明らかになった。一方,カイニン酸投与により誘導される神経新生は野生型マウスとFosb mRNA 欠損マウスの中間レベルであった。以上の結果は定常状態の神経新生は主としてΔFOSB/Δ2ΔFOSBで制御され,ストレス誘発時の神経新生にはFOSB/vFOSBが強く関与することを示している。Fosb 遺伝子完全欠損マウスでは,カイニン酸投与後の新生神経細胞の海馬門への移動が増加していたが,Fosb mRNA 欠損マウスでは逆に野生型マウスよりも有意に低下していた。Fosb 遺伝子完全欠損マウスは,うつ様行動と老化とともにてんかんを自然発症し,海馬歯状回分子層の構造異常を呈するが,Fosb mRNA 欠損マウスではこれらの表現型が全て見られないことから,ΔFOSB/Δ2ΔFOSBがうつ様行動とてんかん発症を抑制し,かつ新生神経細胞の海馬歯状回分子層への移動と正常な神経回路形成に寄与することを示している。さらにカイニン酸投与時のミクログリオーシスと補体応答がFOSB/vFOSBによって制御されることを明らかにした。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] fosB-Null Mice Display Impaired Adult Hippocampal Neurogenesis and Spontaneous Epilepsy with Depressive Behavior.2013
Author(s)
Yutsudo N, Kamada T, Kajitani K, Nomaru H, Katogi A, Ohnishi YH, Ohnishi YN, Takase KI, Sakumi K, Shigeto H, Nakabeppu Y.
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Journal Title
Neuropsychopharmacology
Volume: 38
Pages: 895-906
DOI
Peer Reviewed
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