2012 Fiscal Year Research-status Report
遺伝子発現特性に基づくカンキツ自家不和合性遺伝子の単離
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23658033
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
久保 達也 鹿児島大学, 農学部, 准教授 (70359983)
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Keywords | 自家不和合性 / カンキツ |
Research Abstract |
本研究の最終目標は、カンキツ類の自家不和合性関連遺伝子を単離し、カンキツの自家不和合性機構の解明に資するとともに、既存品種のS遺伝子型を決定することである。 昨年度作成したたカンキツの蕾の発育に伴って発現量が増大する遺伝子ライブラリー(サブトラクションライブラリー)から222クローンについて、DNAデータベース(EST、BLAST)検索を行ったところ、花器官特異的に発現している5つの遺伝子候補(citT015, citT134, citT169, citT194, citT209)を得た。そこで、これらの候補遺伝子について各花器官(花柱、子房、葯、花糸、花弁、がく)における発現解析を行ったところ、citT209のみが花柱特異的であることが明らかとなった。citT209はCu/Zn スーパーオキシドジスムターゼであると推定された。これまでの我々の調査から蕾への硫酸銅あるいは硫酸亜鉛処理によって自家不和合性が打破される可能性を示しており、CuやZnを介した自家不和合性のメカニズムの存在が示唆された。 本遺伝子が自己と非自己の認識に関わっているかどうかは不明であることから、機能解析と併せて各カンキツ類のS遺伝子型との対応、多型の有無等について、今後検討する予定である。 また、本年度、花粉の液体培地での培養法を改良し、機能解析のためのアッセイ系も確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
カンキツの蕾の発育に伴って発現量が増大する遺伝子ライブラリーを作成し、222個の発現量が高まるクローンを得ることができた。また、データベース検索および組織特異性調査のための発現解析によって、1つの花柱特異的発現遺伝子を得ることができた。この遺伝子産物の機能は、Cu/Znスーパーオキシドジスムターゼと推定され、これまでの成果と併せて考えると、CuやZnを介した自家不和合性のメカニズムの存在が示唆された。まだ自家不和合性遺伝子本体の単離にはいたっていないが、自家不和合性反応に関わる可能性がある遺伝子の単離に至った点は評価できるものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本課題の最終年度にあたる本年度は、まずサブトラクションスクリーニングによって得られたcitT209について、品種間の多型の調査を行い、自家不和合性遺伝子の可能性について検討する。また、自家不和合性へのCu, Znの関与が示唆されたことから、蕾への硫酸銅処理が、ciT209の発現に及ぼす影響を調査する。さらに、citT209の遺伝子産物について確立したアッセイ系を用いることによって、花粉管伸長に及ぼす影響を調査する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費は、遺伝子発現解析用試薬類、学会発表等の旅費としての使用を予定している。
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