2013 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子発現特性に基づくカンキツ自家不和合性遺伝子の単離
Project/Area Number |
23658033
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
久保 達也 鹿児島大学, 農学部, 准教授 (70359983)
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Keywords | カンキツ / 自家不和合性 |
Research Abstract |
カンキツの自家不和合性関連遺伝子の単利を目的として、遺伝子発現特性(発現時期・組織特異性)を利用して、サブトラクションスクリーニングを実施した。平成24年度までに222クローンの候補遺伝子をスクリーニングし、citT015, citT134, citT169, citT194, citT209の5つを単離した。これらのうち各花器官(花柱、子房、葯、花糸、花弁、がく)における発現解析から、citT209のみが花柱特異的であることを明らかとなった。さらにBlastXによる機能推定により、citT209はCu/Znスーパーオキシドディズムターゼ(Cu/Zn SOD)であることが示唆された。Cu/Zn SODはCuやZnを活性の中心にもつ抗酸化酵素である。また平成24年度までの実験で、カンキツの蕾にCuSO4を噴霧処理することによって、自家不和合性を打破できる可能性を示した。そこで平成25年度はCuSO4噴霧処理がCu/Zn SOD遺伝子の発現に及ぼす影響をリアルタイムPCRによって調査するとともに、花粉管伸長に及ぼす活性酸素とSODの影響についても調査した。その結果、蕾へのCuSO4処理によってCu/Zn SODの発現量が高まること、一方、活性酸素が花粉の発芽および花粉管伸長を抑制することを明らかした。テッポウユリにおいて、自家受粉区で他家受粉区よりもSOD活性が高まることが報告されている(手塚, 1995)。カンキツにおいても活性酸素が花粉管伸長を阻害している可能性があり、Cu/Zn SODの発現量の増大により活性酸素が一部除去されることで不和合性の打破効果が得られるものと考えられた。本研究ではカンキツ自家不和合性あの自他の認識に関わる遺伝子の単離には至らなかったが、自家不和合性あるいは花粉管伸長には何らかの形で抗酸化メカニズムが関与することが示唆された。
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