2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23658060
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
真常 仁志 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (70359826)
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Keywords | 砂質土壌 / 土壌肥沃度 / ニジェール / ナミビア |
Research Abstract |
砂質な土壌は貧しいとする土壌肥沃度の常識に挑戦するため、ナミビアにおいて採取した砂質土壌の粒径分布を調べたところ、ニジェールの砂質な土壌と同程度の砂含量であったが、シルトと粘土の存在量には明瞭な違いが認められた。すなわち、ナミビア土壌は、シルトがほとんどなく、粘土が約6%程度含まれるのに対し、ニジェール土壌はシルト2%、粘土3%とバランス良く存在していた。この違いは、土壌生成過程の違いを反映していると推察される。つまり、ナミビアでは、粘土画分が風あるいは水によって運ばれてきたのに対し、ニジェールでは、その場で砂岩の風化により生成したのであろう。このような粒径分布の違いを反映して、ナミビア土壌のほうが固結しやすい可能性があったが、現地の圃場試験において観察したところ、固結は認められなかった。固結性には、粘土の含量だけではなく、シルトの存在量も影響していることが示唆された。またその他の理由として、粘土鉱物組成が考えられた。X線回折によって同定されたナミビアの表層土壌の粘土鉱物は、雲母を主体としており、膨潤性に富む鉱物ではなかった。 当該年は降雨量が350mmときわめて少なく、トウジンビエを作付した区では、ほとんど下層への溶脱がないが、作付しなかった区では、下層への溶脱が確認された。以上のことから、たとえ少雨であっても植物が生育していなければ砂質土壌からの溶脱が懸念されることが明らかとなった。さらに、現地の農民からの聞き取りの結果、粘土が多い土壌では、降雨後の土壌の乾燥が早いという情報を得ていたが、その実証には至らず今後の課題となった。
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