2011 Fiscal Year Research-status Report
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23658098
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
岡田 正弘 中部大学, 応用生物学部, 講師 (40377792)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 翻訳後修飾 / イソプレニル化 / トリプトファン / 枯草菌 / クオラムセンシング |
Research Abstract |
枯草菌のComXフェロモン以外でトリプトファン残基のイソプレニル修飾が発見された例はない。しかし、システイン残基のイソプレニル修飾の普遍性が明らかにされていることなどを踏まえるとトリプトファン残基のイソプレニル修飾も普遍的に存在する可能性が高いと予想された。そこで、本研究ではComXフェロモンにおけるトリプトファン残基のイソプレニル修飾の普遍性を検証することを目的とした。 まず、イソプレニルトリプトファンを含有したハプテンを合成した。これを基にポリクローナル抗体を作製したものの抗体価が低く、実際に検出に使用することは困難であると考えられた。そこで、RO-E-2株由来のComXRO-E-2フェロモンの修飾トリプトファン残基におけるゲラニル基が生理活性に必須であることを証明するために、有機合成により各種イソプレニル変異ComXフェロモンを合成し、それぞれの生理活性の比較を行った。その結果、ゲラニル基の2重結合を還元するだけでほとんど活性を消失することを見いだし、側鎖のゲラニル基の化学構造は活性発現に重要であることが判明した。次に、分子生物学的手法によりcomQの過剰発現大腸菌を作製した。得られた修飾酵素ComQの反応条件を検討し、この酵素が金属Mg2+を必要とすることを見いだし、in vitro ComQ酵素反応によるComXのイソプレニル化活性をLC-MSを用いて評価する条件を確立した。今後は、構築した検出法を基に他の生物種からイソプレニルトリプトファン含有ペプチドを探索する方法を検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
残念ながら、イソプレニルトリプトファン含有ペプチドをハプテンとしたポリクローナル抗体による新規イソプレニルトリプトファン含有ペプチドの探索は困難であったものの、本年度の研究成果により、ゲラニル基が活性発現に重要であることが判明した。また、LC-MSを用いた、in vitro ComQ酵素反応によるComXのイソプレニル化活性を評価する条件を確立でき、他の生物種からイソプレニルトリプトファン含有ペプチドを探索する新たな手法を構築することが出来た。なお、これらの成果は各論文に投稿し受理された、もしくは現在準備中である。以上よりおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
構築したin vitro ComQ酵素反応によるComXのイソプレニル化活性を評価する方法を基に、comX過剰発現大腸菌の各種comX変異体、もしくはペプチドシンセサイザーを用いて合成したComXペプチド変異体を用いて、基質であるComXの重要配列を探ることで、新規修飾ペプチドの探索に必要なアミノ酸配列を決定する。決定したコンセンサス配列を基にComXの相同性検索による新規修飾ペプチドの探索を行うことを試みる。 これに並行して、comQ過剰発現大腸菌の各種comQ変異体を用いて、修飾酵素ComQの重要配列の解明を行うことで、新規修飾ペプチドの探索に必要なComQのアミノ酸配列を決定する。決定したコンセンサス配列を基にComQの相同性検索による新規修飾酵素の探索を行い、さらに新規修飾ペプチドの探索を行うことを試みる。 得られた候補生物の内、枯草菌以外のグラム陽性細菌、グラム陰性細菌を中心に様々な微生物の培養を行い、申請者が構築したComXフェロモンの抽出方法に準じて抽出を行い、各検定溶液を調製する。得られた培養液を、LC-MS分析によりイソプレニルトリプトファン含有ペプチドが分泌されていることを証明する予定である。さらに直接的な証拠を得るために、イソプレニルトリプトファン含有ペプチド、もしくは酵素処理により得られる断片化ペプチドを化学合成し、両者を比較し、イソプレニルトリプトファン含有ペプチドであることを証明する。最終的に得られた結果を取りまとめ、成果の発表を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、ペプチドを合成するための合成用試薬、合成ペプチドを精製するためのHPLC 溶媒を購入する予定である。さらに、ペプチドを検出するためのUV検出器を購入する予定である。 また、酵素反応の評価のための生化学用試薬や、コンセンサス配列決定のための分子生物学試薬を購入する予定である。続いて各種細胞培養用の試薬が必要になる。その他、論文作成のための、論文校閲費や、論文掲載費が必要となる予定である。また、最新の研究についての発表、情報交換のために国内出張費、海外発表を行う予定である。以上のように平成24年度は、全ての研究経費を適切に使用する予定である
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[Journal Article] Geranyl modification on the tryptophan residue of ComXRO-E-2 pheromone by a cell-free system.2012
Author(s)
F. Tsuji, A. Ishihara, K. Kurata, A. Nakagawa, M. Okada, S. Kitamura, K. Kanamaru, Y. Masuda, K. Murakami, K. Irie, and Y. Sakagami.
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Journal Title
FEBS Lett
Volume: 586
Pages: 174-179
DOI
Peer Reviewed
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