2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23658194
|
Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
登尾 浩助 明治大学, 農学部, 教授 (60311544)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 道夫 明治大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (00588775)
|
Keywords | 粘土鉱物 / 熱的性質 / 熱伝導率 / 熱拡散係数 / 体積熱容量 / DPHP法 / モデル / 塩類 |
Research Abstract |
供試土は膨潤性のあるモンモリロナイト系土壌(以下,モンモリロナイト),アロフェン系土壌(アロフェン),非膨潤性のカオリナイト系土壌(カオリナイト)を使用した.モンモリロナイトは東北,カオリナイトは福岡県,アロフェンは神奈川県でそれぞれ採取した.供試土は風乾後,1.7 mm篩を通過させ,24時間炉乾燥し,デシケーター内で室温まで冷ました.イオン種は塩化カリウム(KCl),塩化カルシウム(CaCl2),硫酸ナトリウム(Na2SO4)を使用し,0~1.0 mol/Lまで濃度を変えた溶液を調整した.土壌の体積熱容量はサーモTDRプローブを用いてDual Probe Heat Pulse(DPHP)法で測定した.ヒーターに13秒間電圧をかけ一連の測定作業を30分間隔で6回繰り返し,それぞれの測定値の平均をデータとした.測定後に炉乾法を用いて体積含水率θを確認した. KCl,CaCl2溶液を体積含液率θ =0.25でアロフェン,カオリナイト,モンモリロナイトと混合した際,KCl,CaCl2どちらのイオン種でも熱的性質の変化の傾向はほぼ一様であった.アロフェンの熱拡散係数は溶液濃度が高くなるにつれて,わずかに減少することが観察された.一方で,体積熱容量はほとんど変化しなかった.この結果,熱拡散係数と体積熱容量の積で表される熱伝導率は溶液濃度にともない,わずかに減少した.カオリナイトはCaCl2溶液を添加すると,熱拡散係数,体積熱容量はほとんど変化しなかった.しかし,熱伝導率は0.1 mol/Lで最大値を示した.KClを加えた場合には熱的性質の各値が測定した溶液濃度の範囲では0.1 mol/Lで最大値を示した.カオリナイトは溶液濃度にしたがって粘土鉱物が分散や凝集といった微小構造を変化させる.この微小構造の変化を受けて熱的性質が変化したのではないかと考えられる.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
業者に発注した測定用DPHPプローブの完成が予定より遅れたため,実験開始の時期が年度後期にずれ込んだ.DPHPプローブは,構造はそれほど複雑ではないが,微細な構造であるので,こちらの仕様通りのプローブが完成するまで半年程かかった.その後は順調に測定が進んだが,半年の遅れを取り戻すことはできなかった. モデルに関しては,前年度に引き続き開発を続けたが,途中でどのように境界条件を設定すれば上手く微小構造中の熱移動を表すことができるかに関して,行き詰まった.年度末になって,良い方法を思いついたので,次年度には上手く計算できる予定である. 電子顕微鏡による微細構造の撮影は,未だに良い手法が見つからず,模索中である.
|
Strategy for Future Research Activity |
熱的性質に関する実験は,昨年度同様に継続してデータを収集する. モデルについても,昨年度に引き続いてCOMSOLを使ってシミュレーションを行う.昨年度末に思いついた境界条件を使って計算する. 電子顕微鏡による微細構造撮影についても,引き続き前処理法の検討を行う.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究補助員への謝金 250千円 電子顕微鏡使用に必要な消耗品 100千円 海外旅費(研究発表) 150千円
|
Research Products
(1 results)