2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23658203
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
豊田 淨彦 神戸大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (30144603)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 脂肪酸 / 不飽和度 / 誘電率 / FTIR / 誘電分散 / 国際研究者交流 / 中国 |
Research Abstract |
本研究では、触媒や加熱操作を用いない環境負荷の少ない油脂の新規分別方法の開発を目的とし、本年度は、以下の脂肪酸および油脂の誘電特性の評価に関する研究を実施した。 1. 飽和・不飽和脂肪酸の誘電特性の解析 不飽和度の異なるステアリン酸(C18:0)、オレイン酸(C18:1)、リノール酸(C18:2)他の主要脂肪酸について、100Hz~ 1MHzにおける誘電特性を液体テストフィクチャ(Agilent 16452A)を用いて測定した。500kHz以下の周波数域では、誘電定数は2.25~2.42の範囲でほぼ一定値を示し、500kHz以上では誘電分散が認められた。特に、500kHz以下で現れる誘電定数の値が脂肪酸の不飽和度により異なることを確認し、また、500kHz以上の分散帯域での誘電定数の減少傾向も不飽和度により僅かながら相違が見られた。これにより、誘電定数による脂肪酸不飽和度の検出と分散帯域での誘電損失エネギーの不飽和度による相違から、不飽和度に応じた選択的な誘電加熱の可能性を確認した。また、それらの25℃~40℃間での温度依存性を明らかにした。2. 油脂の誘電特性の解析食用油脂の大豆油と短鎖の脂肪酸から構成されるパーム油の誘電特性を同様の方法により測定した。誘電定収の周波数依存性は、脂肪酸と類似の挙動を示すが、500kHz以上での誘電分散は脂肪酸と比べ明確ではないが、誘電損失は50kHz以上で顕著な増加傾向を示した。また、両者を一定割合で混合した試料についても測定を行い、混合割合の誘電定数への影響を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予定した招聘外国人研究者の訪日日程の調整が難航し、共同実験の実施に遅れが見られた。情報交流の機会を密にし、次年度早期に実施する。
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Strategy for Future Research Activity |
精密な温度管理の可能な微量試料セルの開発と温度制御システムの構築により測定面の技術的課題を解決し、当初計画の周波数域での誘電特性の測定を可能にする。特に、試料セルは微小な装置となるため、CNCフライスによる機械加工、Z軸ステージ等によるファイバープローブの精密位置決めを採用する。更に、静電場による分子配向等への影響評価において、誘電特性の異方性検出による方法を偏光FTIR測定法に変更し、予想される技術的困難さの解消を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予定した招聘外国人研究者の訪日日程調整が、当該研究者の本務との関係により困難であったため、共同実験が実施できず、外国旅費の次年度繰越が生じた。当該研究者との情報交流の機会を密にし、次年度の早期に実施する。微量試料セル作成のためのCNCフライス用消耗品、精密位置決め装置関連の消耗品、中赤外用偏光フィルター購入経費を次年度に支出する。
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