2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23658203
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
豊田 淨彦 神戸大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (30144603)
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Keywords | 脂肪酸組成 / 不飽和度 / 誘電定数 / 微小電極 / 高電場 / FTIR |
Research Abstract |
触媒や加熱操作を用いない環境負荷の少ない油脂の新規分別方法の開発を目的とし、微小電極を用いた高電場での誘電特性を明らかにし、誘電特性に基づいた分別法について検討した。 1. 微小電極による誘電特性測定法の確立 電極間隔5μmの微小くし型電極の高精度の安定な測定条件を明らかにするため、周波数100Hz~1MHzにおけるシリコン油の誘電特性を調べた。電界強度1kV/㎝となる印加電圧0.5Vにおいて安定な測定が可能であった。 2. 不飽和度の異なる構成脂肪酸油脂の誘電特性 トリオレイン(C18:1c)、トリリノレイン(C18:2)、トリエライジン(C18:1t)の誘電定数ε’は42℃で2.79~2.82の範囲にあり、それらの間の差は0.02以下と小さいが、5℃以下でトリオレインとトリリノレインの差は0.06に拡大した。誘電定数の変化が大きい緩和周波数付近では、より差が拡大するため、極性の大きさの相違による選択的な加熱の可能性が示唆された。 3. 脂肪酸組成の異なる植物油脂の誘電特性への温度の影響 オリーブ油、ひまわり油、大豆油、ゴマ油、コーン油の誘電特性は、温度低下と共に緩和周波数が低下することを明らかにした。精密な温度制御の下での誘電定数の調節とそれによる選択的な加熱の可能性が示された。この傾向は、基準試料として用いたグリセリンにおいてより顕著であった。 微小電極を用いた高電場下での誘電特性測定では、温度、印加周波数の影響を明瞭に示され、極性の低い油脂の測定に適し、誘電加熱・泳動への利用の有用性が示唆された。
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Research Products
(2 results)