2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23658210
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
渡部 浩司 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40280820)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河地 有木 独立行政法人日本原子力研究開発機構, その他部局等, 研究員 (70414521)
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Keywords | PET / 植物 |
Research Abstract |
高分解能三次元PETを用いた高等植物における光合成産物の動態解明研究を実施した。その結果、光合成における炭素固定直後の地下部への炭素栄養の移行と積み卸しの詳細を、はじめて経時的かつ三次元的に捉えることに成功した。 植物分子イメージングを可能にするRIガス投与システムや実験器具の製作と、実験プロトコルの最適化の後、ダイズの葉に噴霧した11C標識二酸化炭素を高分解能PETで撮像する実験を行った。PETデータの再構成画像からは、葉で固定された11Cが光合成産物となり、1時間後にはすでに約20cm先の地下部の根の先端部に到達していることが明らかになった。さらに経時的に計測を続けたところ、根端での強い集積が顕著となり、植物体から土壌への炭素分泌を示唆する動画像を得る事が出来た。一方PET-MRIの利用においては、生体からのMRI信号を捉え、地下部構造可視化することはできたが、同時撮像による生理的な特徴を示す画像データの取得は、現状困難であることが解った。 これは、医療分野の特に分子イメージングセンターで進む、世界最先端イメージング技術の発展が、農学・植物生理学分野へも十分に貢献できることを示す成果であり、ここで提起した医学、工学、農学、植物生理学といった幅広い学際的協力の試みの結実を示すものである。 なお、本研究は分子イメージング技術の一つであるピンホール型ガンマカメラを用いて、福島原発事故への対応研究の一環となっている、農作物中放射性セシウムの動態解明技術を開発するという新たな発展を見せている。今後もイメージング装置を駆使した環境中汚染物質の動態解明というテーマにおいても、本課題で培われた技術が主導的な役割を果たしていくことが期待されている。
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