2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23658218
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
川末 紀功仁 宮崎大学, 工学部, 教授 (20214645)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 宏 宮崎大学, 理事 (90041061)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 画像計測 / 牛 / 体重 / 自動化 / 非接触 |
Research Abstract |
非接触で牛の体重を推定するシステムを開発するために牛の三次元形状データを取得するシステムを試作した。可搬性のある計測器を実現するために画像計測技術の導入を試みた。また,できるだけ広い表面形状データを取得するために,スキャンニングタイプの計測器の開発を目指している。光切断法による三次元計測を基本とし,レーザー投光器とCCDカメラのそれぞれにセンサー自体の三次元位置と姿勢が検出可能な磁気センサーを取付け,レーザー投光器とカメラの三次元的な移動情報をリアルタイムで検出することで,スキャンニングによる形状計測を実現するシステムを試作した。画像取り込みには汎用性を考慮し,一般的なパソコンの標準機能として備えられているUSBインターフェースを利用した。実験により,USBインターフェースを用いて30Hzで画像を取り込むことができることを確認した。本システムでは三角測量の原理を用いて計測するために,カメラとレーザー間の角度が計測精度に影響する。そのため,カメラとレーザーの角度と計測精度の関係を実験により求め,計測時にカメラとレーザー間の角度を80度以上に保つことで,寸法誤差が1ミリ以下になることを確認した。また,近年市販されたMicrosoft社製 Kinectセンサーを用いることで牛の3次元点群座標データを容易に取得できることがわかった。 実際の和牛の形状データを取得し,コンピュータ上で和牛の形状を再現することを試みた。撮影中に頭など動く部分の計測が難しいが,胴体などは良好に計測できることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の当初計画についてはおおむね計画通り実施し,現在のところ,画像取り込み部が完成している。手で保持できるサイズで可搬性も十分と言える。また,開発している計測器と並行して近年Microsoft社により発売されたKinectセンサーをパソコンに接続することで三次元形状データを取得するシステムを試作している。価格的にはKinectセンサーの方が低価格であるので,十分な精度が保証されるとKinectセンサーの利用も期待できる。特にKinectセンサーの場合は,一般的に画像センサーが苦手とする黒色物体の形状データも良好に取得できるので,今回対象とする黒毛和牛の計測にも適応できると思われる。いずれの装置を用いた場合でも得られるデータの形式が同じであるため,以降の処理には共通したアルゴリズムが利用できる。画像計測が基本となるため,牛の背景に地面や柱などの不要なデータが同時に取得される場合がある。手動ではあるもののコンピュータ上で不要なデータを除去する処理を行い,ほぼ牛の形状のみを抽出することが実現できている。 平成23年度の計画では,画像取り込み部の完成が目標であったため,現在の達成度としては,おおむね順調に推移していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
取得する点群座標データは数万点に及び,牛の全体形状を取得すると膨大な情報量となる。データ量が増えるとその後の処理に時間がかかるため,必要な情報を確保しつつもデータの削減が必要となる。そのため,今後の研究で効果的なデータ削減方法について研究を行う。現場で取得される点群データでは,牛周囲の地面,柱など牛体以外のデータがノイズとして含まれる。これらの不要なデータをできるだけ自動的に削除するアルゴリズムの検討が必要である。また,牛の胸囲を求める際には牛体に対して垂直な断面を検出する必要がある。牛体のみを検出する手段として,傾きセンサーを計測器に取付けることで,その傾きデータから水平面となる地面の検出や牛の垂直断面の検出などを試みる予定である。また,二つのレーザーを組み合わせて牛の胴体に投光し,撮影される二つのリング状レーザーのずれ量から,牛の長手方向に対する傾きの検出を試みる。計測現場においては牛舎内の通路から撮影することになるため,牛体の片面しかデータを取得できないことが多い。その場合には,牛体を左右対称とみなすことで全断面を推定生成する手法を導入する。体毛の影響で,部位によっては得られるデータが欠けることが多いが,取得されるデータから胸囲の近似曲線を作成し,補間することにする。実際の胸囲の推定には,基準モデルとなる牛の胸囲から楕円などの近似曲線を求め,計測対象の牛のデータと比較することで胸囲を算出する計画である。また,体毛の影響で,実際の大きさより大きく測定される可能性がある。その対策として,例えば牛の体高の代わりに地面から測定される断面中心の高さを利用するなどの検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
牛の垂直断面を計測するために三次元計測器自体の傾きを検出し,計測器の傾きと牛体の姿勢を考慮した処理を行う必要がある。そのため,計測器の傾きを検出するために重力方向を検出する傾きセンサーを購入する。Bluetooth対応のセンサーが開発されており,本研究開発に有効であり,購入を計画している。屋外での計測が主体になるため,補助電源などを購入する予定である。また,ハンディタイプの計測器にするために,各種センサーをコンパクトに固定する必要があり,固定治具を製作するために,卓上の三次元加工機を購入する。その他,開発する計測器の性能検定のために接触式の牛体測定器を数種購入する計画である。また,形状を検出するためのCCDカメラと近接データに対応したKinectセンサーを購入する。計測実験およびデータ処理のために学生雇用を行う。その他,関連する学会や三次元計測器の研究会などに参加することで,他機関での研究状況の調査を行う。
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