2012 Fiscal Year Research-status Report
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23658218
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
川末 紀功仁 宮崎大学, 工学部, 教授 (20214645)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 宏 宮崎大学, 理事 (90041061)
徳永 忠昭 宮崎大学, 農学部, 助教 (00619512)
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Keywords | 画像計測 / 牛 / 体重 / 自動化 / 非接触 |
Research Abstract |
計測時の牛の動きによる誤差を削減するために,瞬間の状態を一度に計測することで牛の動きに影響を受けない計測手法の開発を試みた。多数の三次元点群データ(座標データ)を一度に取得することが可能なセンサ(KINECT)を牛の左右と上方に設置し,左右および上面の表面形状データを同時に取得するシステムを構築した。可搬性をもたせるために,折りたたみ式として牛舎内で簡単に組み立てられる仕様としている。3方向から得られた座標データの座標系を一つの世界座標系と一致させるために,計測領域内に6点以上の基準点を設置し,これらの基準点の位置をそれぞれのKINECTセンサで取得することを行った。それぞれのKINETセンサの座標系と世界座標系の関係をマトリックス表記し,それぞれの関係を求めることで効率よく座標系を一致させるアルゴリズムを開発した。一般的に牛舎内では地面が土壌であるため,計測器を設置する時,水平を保つことが難しい。そのため,計測器に傾きセンサを固定し,計測器の傾き情報を計測結果に反映させることを行った。また,計測時に牛を計測器に対していつも平行な状態で計測領域に進入させることは難しい。そのため,取得された三次元データから地面に平行な面で輪切りにした横断面を算出し,この横断面を楕円近似することで牛の姿勢を検出することを行った。得られた近似楕円の世界座標系に対する傾き量に基づいて点群データを回転させる処理を加えた。牛の姿勢をコンピュータ上で調整した後に,任意の位置の縦横断面を取得することを行った。黒毛和牛を対象にした計測実験を行ったところ,体毛の色に影響を受けない良好な結果が得られることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本計測システムによって得られるデータ数は数十万点におよび,牛の形状データ以外にも地面や牛舎の壁,柱などの不要なデータも混在する。この膨大なデータから,牛の形状データのみを効率よく抽出するために距離画像を利用することを行った。体重推定に必要な箇所は比較的なだらかな曲面であるために,計測も容易である。また,近年開発されたKINECTセンサの利用によって,当初想定していた以上に良好なデータが得られるようになった。特に,和牛特有の黒毛は一般の光センサでは反射光の検出が難しいが本センサの利用によって良好な座標データを得ることが可能になった。計測精度の評価のために,牛の体型に近い直方体を計測器で計測することを試みた。この際に計測器の距離を1.0 mから2.5 m まで0.5 mずつ変化させ,計測精度の評価を行った。その結果,距離2.5mで30 mm以内の誤差であった。今年度の実験は,生後18ヶ月で,体重533kgの黒毛和牛の計測を行ったところ,計測点の数としては,25万点の座標データが得られている。牛の体重を推定するに当たっては,胸部高や十字部高が重要であるが,画像計測では体毛が直立している場合など体毛の長さの影響を受ける。今回の計測では,胸部高,十字部高,それぞれ5%と7%の誤差がみられ,体毛の影響による誤差要因が大きい。赤外線モジュールを組み合わせた実験については,三次元スキャナと赤外線モジュールを一体化し,温度画像と形状データを同時に取得し,それぞれを合成するアルゴリズムを完成している。 形状計測システムの構築については計画通り進んでいることから,現在までの達成度としては,おおむね順調に推移していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
得られる点群の座標データの数は膨大であるものの,それぞれの値にノイズによる誤差(ばらつき)が含まれる。データ数は十分であるため,データに対してスムージング処理を施し,ばらつきを削減することを行う。また,従来から画像計測の分野で利用されている光切断法は,計測対象の表面にレーザスリット光を投光し,対象表面に表れるレーザの輝線をCCDカメラで撮影し,三角測量の原理を用いてレーザ輝線上に存在する計測点の座標を得るものである。光切断法では本研究で用いているKINECTセンサよりも高精度な座標データが得られるため,牛の形状計測で重要な箇所は光切断法のデータと置き換えて,精度を向上することが期待できる。計測対象にマーカーとなるマルチスポット光を投光し,マルチスポット光を光切断法で用いるカメラとKINECTセンサで検出することで,それぞれの座標データの位置合わせを行う。今年度は,KINECTセンサに光切断法を組み合わせて,計測性能が向上できるどうか確認する。 また,これまでに,2頭の和牛の形状計測を行ったが,体重推定に必要な算定式の決定にはできるだけ多くの牛の形状を計測し,体重推定式の精度を高めることを行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
現場での計測を行うに当たり,補助電源装置と各種センサを制御するためのノート型コンピュータを購入する。また,得られた三次元点群データを画面上に表示し視覚的に確認すると共に,マウス操作によって座標を読み取ることができる点群処理ソフトウェアを購入する計画である。また,計測上の死角を削減するための画像センサを追加購入する。計測実験およびデータ処理のために学生雇用を行う。その他,関連する学会や三次元計測器の研究会などに参加することで,研究成果の発表や他機関での研究状況の調査を行う。
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