2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23658256
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
浅井 史敏 麻布大学, 獣医学部, 教授 (00511677)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 行男 麻布大学, 獣医学部, 准教授 (00224551)
仲野 和彦 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (00379083)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 歯周病 / 人獣共通伝染病 |
Research Abstract |
歯周病は人および犬において罹患率の非常に高い、歯周病原性細菌の感染を原因とする口腔疾患であり、人では糖尿病や動脈硬化症などの全身疾患の発症・進展に強く関連することが明らかとなっている。しかし、伴侶動物として人(飼主)と生活習慣を共有することの多い犬の歯周病については不明な点が多い。本年度の研究では、以下の2点について検討した。1)犬の口腔内にはどのような人歯周病原性細菌がどの程度の頻度で検出されるか?犬の口腔内にはどのような人歯周病原性細菌がどの程度の頻度で検出されるかを犬の口腔より採取した歯垢(プラーク)を用いて、Porphyromonas gingivalis をはじめとする10種類の人歯周病原性細菌およびPorphyromonas gulae を分子生物学的解析(PCR法)あるいは培養法により解析した。都内の動物病院を訪れた犬の歯垢から、P.gingivalisはほとんど検出されなかったものの、P. gulae、Tannerella forsythiaならびにCampylobacter rectusが高率に検出された。2)犬とその犬の飼い主における人歯周病原性細菌の感染頻度には相関関係があるか? 飼い犬(66頭の)およびその飼い主(64家族81人)について口腔内における人歯周病原性細菌の感染頻度を調査した。犬口腔からは上記の3種の菌が高率に検出された。一方、飼い主の歯垢からは、通常、人口腔には存在しないP.gulaeが13人から検出された。飼い主と犬とが接触の多い場合では,飼い主とイヌの両方からE. corrodens が検出されやすい傾向にあった。本研究において、人の主要な歯周病原性細菌の多くが犬においても存在することが明らかとなり、歯周病が犬と人の間における人獣共通感染症である可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度に実施を計画していた研究項目は以下の4点であった。1)犬の口腔内にはどのような人歯周病原性細菌がどの程度の頻度で検出されるか?2)犬における人歯周病原性細菌の検出頻度と犬の健康状態には関連性がみられるか?3)犬とその犬の飼い主における人歯周病原性細菌の感染頻度には相関関係があるか?4)Porphyromonas属の線毛の型分けと毒性評価研究計画に沿って研究を進めた結果、1)、2)、3)項については研究成果を論文にまとめ国内外の研究雑誌(査読有)に投稿した。4)項についても順調に研究が進行し、その結果を国内特許出願した。2)項については、口腔疾患との関連は解析が進んでいるものの、全身疾患を有するイヌ歯垢サンプルの入手を予定していた施設の都合により、サンプル入手の遅滞がみられている。このため、新しいサンプル入手先の候補施設と現在、協議を進めているところである。以上の実施状況より、概ね順調に進展している判断に至った。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画を大きく変更することなく、平成24年度は23年度の研究を疫学的検討を継続する。次年度では、特に歯周病と全身疾患の関連性を解明することに注力する。このため、イヌ歯垢サンプルの入手先を増やすことを目指して、大学病院および市中の動物病院との連携を図ることを予定している。この一環として、仲野道代教授(岡山大学・歯学部)を研究分担者として追加することとした。これにより、これまで東京近辺に偏っていたサンプル入手先が中国地方からも入手可能となる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の計画に沿って研究が進展しているため、次年度の研究費の使用も当初の計画に大きな変更はない。次年度からは研究分担者が1名増えるが、研究代表者の研究費と調整可能と考えている。
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Research Products
(4 results)