2012 Fiscal Year Annual Research Report
樹状細胞に高発現する小胞体膜局在性トランスポーターの機能と免疫系における役割
Project/Area Number |
23659085
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
湯浅 博昭 名古屋市立大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (20191471)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 勝央 名古屋市立大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (50315892)
太田 欣哉 名古屋市立大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (90448704)
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Keywords | トランスポーター / 樹状細胞 / 小胞体 / 免疫 / 抗アレルギー薬 / 創薬標的 |
Research Abstract |
免疫制御に関わる樹状細胞に高発現し,小胞体膜局在性を示す新規トランスポーターとして見出されたVOAT1について,免疫系における重要な役割を想定し,輸送機能解析等を進めた. 輸送機能解析は,ヒトVOAT1遺伝子を導入し,一過性に発現させたHEK293細胞を用い,蛍光性プローブ基質である5-AF(5-aminofluorescein)の細胞内(小胞体部位)局在集積性に関する蛍光画像評価により行った.まず,前年度の研究においてVOAT1阻害活性を有するものが見い出された抗アレルギー薬他の各種薬物群,物質群の作用についての検討を継続し,抗アレルギー薬の阻害活性強度がtranilast > pranlukast > montelukast = zafirlukastの順であるといったような阻害効果の強度に関する情報等を新たに収集できた.さらに,新たに内因性の脂肪酸(酸化物)類の阻害活性が見い出された.免疫に関わる脂質性メディエーター類との関連が予想されるところであり,VOAT1の生理的基質の特定及び生理的役割の解明への手がかりとして期待される. 一方,小胞体内へのVOAT1介在性基質集積が定量的輸送活性評価には不十分であるという問題の克服のための取り組みとして,VOAT1の小胞体膜局在化配列に変異を導入し不機能化することを試みた.その結果,小胞体以外の細胞内部位へのある程度の局在変化を惹起できたが,細胞膜への十分な局在化は達成できなかった.これは,先に試みたIst2P(酵母の細胞膜タンパク質)由来の細胞膜局在化配列の付加利用の場合と同様であり,問題の克服には至らなかった. 研究期間を通じて,5-AF集積を指標とした蛍光画像解析により,VOAT1の定性的な機能特性評価を大きく進展させることができた.しかし,定量的輸送活性評価は実現できず,定性的評価を十分に裏付けるには至らなかった.
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