2013 Fiscal Year Annual Research Report
栄養物質トランスポーター分子がマウス小脳皮質出生後形態形成において担う機能の解析
Project/Area Number |
23659103
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
阿部 弘之 帝京大学, 医療技術学部, 講師 (80309335)
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Keywords | nutrient transporter / GLUT1 / PiT1 / PiT2 / 小脳 / 代謝 / 分化 / 発達 |
Research Abstract |
平成25年度は、トランスポーター分子の発現を抑制するアンチセンスオリゴヌクレオチドを新生仔マウス小脳へ注入し、その小脳発達への効果を検索するために、まず①出生後2-5日目の新生仔マウスに対する安全で非侵襲的な麻酔法を確立し、②試薬注入領域を顕微鏡下に可視化出来る様に、出生後3週間程度にわたる小脳発達過程を通じて小脳組織を標識する方法を確立することを試みた。 その結果、①麻酔法の確立に関しては、氷上に新生仔マウスを保持する低体温麻酔法を用いることにより、2-3分で外科的麻酔状態に導入できた。この低体温麻酔状態下、皮膚・頭蓋骨を通して脳へ25G針を直接刺入し、マイクロインジェクターを用いて試薬を微量注入することを試みたところ、2-3μlの容量の試薬を注入しても、低体温麻酔下の試薬注入の最中および注入完了直後に死亡する個体は殆どなく、体重および脳重量の増加にも有意な障害を来さないことが判明した。新生仔マウスの脳に限らず、成体マウスの脳に対して試薬の注入を行った過去の実験例では、多くの場合数十nlの容量の試薬の注入が一般的で、今回非侵襲的に2-3μlの試薬注入が可能となったことは、効果を得るためにこの容量の試薬注入が必要とされる場合の多い生体内アンチセンスオリゴヌクレオチド投与実験に取り組む上で重要な進展であると考えられる。また、本方法は、神経組織に対する変異原物質のスクリーニングや、遺伝子治療用試薬の脳内投与などに応用できる可能性がある。 一方、②小脳発達過程を通じて小脳組織を標識する方法の確立については、最初に水溶性の色素による標識を試みたが、試薬注入後1週間後には脳組織中から消失してしまうことが判明した。現在、より長期間脳組織内に留まると思われる高分子化合物や、細胞膜を標識する脂溶性蛍光色素、細胞の核に取り込まれる物質を用いて脳組織を標識する実験を進めている。
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