2011 Fiscal Year Research-status Report
神経ペプチドグレリンの新規受容体の同定と作用機構の解明
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23659124
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
上田 雅博 鹿児島大学, フロンティアサイエンス研究推進センター, 技術職員 (00448573)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸田 昭世 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (50274064)
乾 明夫 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (80168418)
飯島 幹雄 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (00305111)
岸田 想子 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (40274089)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | デスアシルグレリン / 受容体 |
Research Abstract |
グレリンは、胃から分泌される神経ペプチドで、受容体GHSRを介して食欲中枢の刺激などの生理作用を示す。血中グレリン濃度は神経性食思不振症などの病態での食欲と密接な関係を示すので、臨床的にも今後重要となる。グレリンはそのアミノ末端側の脂質を介して受容体と結合することがわかっている。一方、アミノ末端側に脂質の修飾がない型(非修飾型)は受容体GHSRに結合しないため当初特に生理的な作用はないと考えられてきた。しかし、血中には非修飾型が修飾型よりも多量に存在することや、非修飾型グレリンを投与すると修飾型グレリンによる食欲亢進を抑制することから、非修飾型グレリンが未知のグレリン受容体を介して修飾型グレリンのシグナルに干渉していると考えられる。連携研究者、乾が提供する非修飾型グレリンを固定化したカラムを作成し、界面活性剤で可溶化したブタ脳抽出液を材料として、アフィニティクロマトグラフィの手法でグレリン結合たんぱく質を濃縮し、溶出した。これをSDS電気泳動して、銀染色でたんぱく質を確認して切り出し、LC/MS装置を用いて質量分析で多数の候補分子の同定を現在進めている。この実験は、目的分子がグレリンと結合できる活性を保ったまま可溶化されないと成立しないが、細胞膜を貫通している受容体は可溶化しにくいことが考えられる。そのため汎用されている界面活性剤を使った比較的温和な可溶化から、コール酸などの強力な可溶化まで検討する必要があり、これらも並行して現在進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
デスアシルグレリンを固定化したカラムを作成し、界面活性剤で可溶化したブタ脳抽出液を材料として、アフィニティクロマトグラフィの手法でグレリン結合たんぱく質を濃縮、溶出した。その後、SDS電気泳動して、銀染色でたんぱく質を確認後に切り出し、LC/MS装置を用いて可能な限り多数の候補分子の同定を行った。しかしながら、多数のbandがあったため、まだ全ての同定には至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、LC/MSによる受容体の候補となる分子の同定を進め、そのクローニングと、発現実験によるグレリンとの結合実験の系を確立する。さらに、アフィニティ精製による受容体同定の試みと並行して、パニング法を用いた方法でマウス脳のcDNAライブラリーを使った受容体スクリーニングの実験系を立ち上げる予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主として、消耗品購入に充てる予定である。例えば、サブプール化されたcDNAライブラリーのスクリーニングを効率的に行うため、DNA精製キット等を購入する予定である。
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