2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23659181
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
副島 英伸 佐賀大学, 医学部, 教授 (30304885)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | エピジェネティクス / ゲノムインプリンティング / iPS細胞 / DNAメチル化 / 分化万能性 |
Research Abstract |
マウス新生仔F1線維芽細胞から8クローンのiPS細胞(iPSC)を作製した。1クローンはセンダイウイルス(4ファクター:Sox, Klf4, Oct, Myc)で、3クローンはセンダイウイルス(3ファクター:Sox, Klf4, Oct)で、4クローンはレトロウイルス(4ファクター:Sox, Klf4, Oct, Myc)で樹立した。線維芽細胞、未分化iPSC、レチノイン酸処理にて分化誘導したiPSCのゲノム中の28ヵ所の刷り込みDMRのメチル化についてMassARRAYを用いて定量的に解析した。未分化iPSCを線維芽細胞と比べたところ、4クローン以上で低メチル化を示したDMRは20ヵ所で、高メチル化を示したDMRは1ヵ所であった。RA処理iPSCは線維芽細胞に比べ、13ヵ所で低メチル化を示し、1ヵ所が高メチル化を示した。また、RA処理iPSCは未分化iPSCに比べ、5ヵ所で高メチル化を示した。このうち4ヵ所は、RA処理iPSCと線維芽細胞でメチル化の差異がない領域であり、RA処理により正常メチル化に回復したことを示す。これらの結果から、線維芽細胞をiPS化すると大半の刷り込みDMRは低メチル化を生じること、一部の刷り込みDMRはRA処理により正常メチル化に回復することがわかった。また、健常人とBeckwith-Wiedemann症候群(BWS)患者からiPSCを樹立した。2名の健常人末梢血由来iPSCそれぞれ4クローンずつ計8クローン、KvDMR1低メチル化で発症したBWS患者1例の末梢血から4クローン、H19-DMR高メチル化で発症したBWS患者1例の末梢血から4クローンのiPSCを樹立した。現在、樹立したiPSCについてゲノム中の38ヵ所の刷り込みDMRのメチル化解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H23年度研究計画の主目的であるマウスiPSCの樹立と刷り込みDMRの解析が予定通り終了し、iPSCクローン間でメチル化状態が異なることがわかった。また、異なる原因で発症した2例のBWS患者と健常人2名からヒトiPSCも樹立できた。
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Strategy for Future Research Activity |
樹立したヒトiPSC(患者由来および健常者由来)のゲノム中の38ヵ所の刷り込みDMRのメチル化解析を行う。マウスiPSCを含めて、メチル化異常を示したDMRについては、pyrosequencing法あるいはbisulfite sequencing法で確認する。マウスiPSCの分化能評価については、ジャームラインキメラ法あるいはテトラプロイド・レスキュー法にて評価する。得た生産仔及び致死胚について刷り込みDMRのメチル化解析を行い、メチル化の変化の有無と程度を解析する。ヒトiPSCについては、in vitro分化およびヌードマウス接種による奇形種形成実験を行い、分化能を評価する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、主としてpyrosequencing法あるいはbisulfite sequencing法によるメチル化解析と細胞培養に必要な消耗品に研究費を充てる。その他、成果発表のための旅費、試料の運搬費、英文校正費に使用する予定である。
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