2012 Fiscal Year Annual Research Report
分子標的薬による次世代テーラーメードがん治療の実現にむけた基盤技術
Project/Area Number |
23659196
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大場 雄介 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30333503)
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Keywords | 分子標的治療薬 / FRET |
Research Abstract |
BCR-ABLを発現するPh(+)急性リンパ球性白血病 [Ph(+) ALL] 細胞株を用い、薬剤処理後も高いFRET効率を示す薬剤耐性細胞を、セルソーターを用いて分取した。メチルロースセルロースを用いたコロニー解析を行い、薬剤耐性細胞が血液幹細胞の性格を有するか否かを検討したところ、薬剤耐性細胞における幹細胞の濃縮は認められなかった。次に、耐性細胞群と薬剤感受性細胞の遺伝子発現パターンをcDNAマイクロアレイで比較したところ、耐性細胞において発現亢進が見られる遺伝子を4528個、発現の低下する遺伝子を405個同定した。さらにこれら発現亢進遺伝子をアノテーションソフトで解析し、24の活性化シグナル伝達経路を得た。この24経路のうちメバロチン酸経路について詳細な検討を行なったところ、律速酵素HMG-CoAに対する阻害薬スタチンとイマチニブの併用が、細胞増殖能の抑制と細胞周期の変化誘導(著明なG2/M分画の減少とsubG1分画の増加)に有効であることが明らかになった。また、スタチン処理はイマチニブ継続処理の途中で出現する耐性細胞 の再増殖を著しく抑制することも明らかになった。以上の結果は、スタチンの併用がPh(+) ALLおよびイマチニブ耐性CMLの治療における有効な候補であることをしさしている。 一方、CMLで成功した分子標的治療薬の薬効評価を、肺癌におけるEGFR阻害薬の効果予測法として応用も検討中である。我々の開発したPicklesはEGFR活性モニターが可能であることが明らかになり、また阻害薬の耐性メカニズムとして知られるc-Metのシグナル伝達経路には影響されないことが明らかになった。またバイオセンサーにも種々の改変を加え、肺癌細胞でEGFR活性モニターと耐性細胞の検出に足る改変型バイオセンサーも開発した。現在は本系を用いて耐性細胞単離作業を行なっているところである。
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Research Products
(12 results)