2012 Fiscal Year Annual Research Report
HIV潜伏感染細胞の活性化を標的としたエイズの病態制御に関する研究
Project/Area Number |
23659233
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
馬場 昌範 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (70181039)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 実佳 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (90336347)
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Keywords | HIV-1 / 慢性潜伏感染 / 遺伝子発現 / Galectin-3 / TNF-α |
Research Abstract |
慢性感染細胞からのHIV-1発現機構の解明を目的として,マイクロアレイ法を用いて,慢性感染細胞におけるHIV-1発現に伴って特異的に発現する宿主因子の解析を行った。その結果,前骨髄芽球系HIV-1慢性感染細胞のOM-10.1細胞において,これまでHIV-1感染と無関係であると考えられてきたGalectin-3遺伝子の発現が,Tumor necrosis factor (TNF)-α刺激により時間依存性に増強することを見いだした。この現象はOM-10.1細胞の非感染親株のHL-60細胞では認められなかった。Galectin-3はβ-galactosideに特異的に結合するレクチンファミリーの一つで,マクロファージや活性化T細胞を含む様々な細胞に発現し,細胞増殖,分化,アポトーシス,前炎症状態制御において重要な役割を果たすとともに,癌、炎症、心疾患、脳卒中の病態に関与することが知られている。ELISA法,リアルタイムRT-PCR法およびウェスタンブロット法により解析を行った結果,OM-10.1細胞において,TNF-αの濃度依存性に,HIV-1産生が増加するとともに,Galectin-3のmRNAおよび蛋白質の発現が増加したが,HL-60細胞ではTNF-α刺激はGalectin-3発現に影響を与えなかった。これらは,マイクロアレイの結果を支持するものであった。また,RNAi法によりOM-10.1細胞においてGalectin-3遺伝子のノックダウンを行った結果,TNF-α刺激により誘導されたHIV-1産生が半減した。さらに,T細胞系HIV-1慢性感染細胞であるACH-2細胞およびその非感染親株のCEM細胞でも同様の結果が得られた。以上の結果から,Galectin-3はHIV-1慢性感染細胞においてTNF-α刺激により発現が誘導され,さらにHIV-1の産生に関与すると思われる。
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