2011 Fiscal Year Research-status Report
ウイルス増殖阻害特殊環状ペプチドの作出及び作用機序の解析
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23659238
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
小原 道法 (財)東京都医学総合研究所, ゲノム医科学研究分野, 副参事研究員 (10250218)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 抗体医薬 / 特殊環状ペプチド / インフルエンザウイルス / 低分子ペプチド / HA蛋白質 / ウイルス増殖阻害 |
Research Abstract |
近年、第3世代の抗体医薬として特殊環状ペプチドが注目されている。特殊環状ペプチドはアミノ酸がメチル化されているものを用い、さらに環状化することにより、動物体内での安定性を100-1000倍に高めたものである。インフルエンザウイルスHA蛋白質に対して12-15アミノ酸からなる特殊環状ペプチドを創成し、治療に用いられているリレンザと同等の良好な阻害活性を見出した。しかし、低分子ペプチドがインフルエンザウイルス増殖を阻害する機序は不明である。従って、これら特殊環状ペプチドの亜型を超えたインフルエンザウイルス増殖阻害効果における作用機序を明らかにし、新たな抗ウイルス剤として治療ペプチドの開発をめざす。1)H5N1インフルエンザHA蛋白質に特異的に結合する環状化安定ペプチドをすでに取得している。特殊ペプチドライブラリーをクローニングして24のシークエンスを得た。これら24種類の特殊ペプチドは特異性、親和性双方から「H5N1インフルエンザウイルスHAを特異的に認識するペプチド」であった。2)この24種類のペプチドについて、H5N1インフルエンザウイルス感染増殖阻害試験を行ったところ7種類のペプチドに抗ウイルス活性が認められた。3)抗ウイルス活性が認められたペプチドの1つは現在治療で用いられているリレンザと同等以上の非常に強い阻害活性を示した。4)抗ウイルス活性が認められたペプチドの1つはH5N1亜型の中ほとんどのクレードに対しての非常に強い阻害活性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最初のスクリーニングから得られた24種類の特殊環状ペプチドについて、H5N1インフルエンザウイルス感染増殖阻害試験を行ったところ7種類のペプチドに抗ウイルス活性が認められた。また、抗ウイルス活性が認められたペプチドの1つは現在治療で用いられているリレンザと同等以上の阻害活性を示すなど、予想以上の結果が得られている。さらに阻害活性の最適化を進め、動物試験へとつなげることを目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
特殊環状ペプチドによるインフルエンザウイルス増殖阻害機序は不明である。これらHAを標的とした特殊環状ペプチドの亜型を超えたインフルエンザウイルス増殖阻害機序を明らかにする。さらに阻害活性の認められた特殊環状ペプチドの感染動物(マウス等)におけるインフルエンザウイルス感染症に対する治療効果の検討を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
感染増殖阻害機序の解析に必要な細胞培養試薬・染色試薬及び器具類を購入する。また、感染動物固体での治療効果を評価するための特殊環状ペプチドの大量作成及び動物の購入を計画している。
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Research Products
(15 results)