2011 Fiscal Year Research-status Report
特異抗体によるがんの標的医療(画像診断と同時治療法)の開発
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23659299
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
松浦 栄次 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (20181688)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 和子 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (20304298)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 分子イメージング / Immuno-Theranostics / がん / メソセリン / リポソーム |
Research Abstract |
本研究は、がんの診断と治療が同時に実施できる新規医療"Immuno-Theranostics"を、分子イメージング技術、抗体工学、DDS技術、光線力学(PD)療法のシナジー的融合により開発検討することを目的とする。具体的には、がん分化抗原であるmesothelin(MSLN)をモデル分子に選び、MSLNに対するマウスモノクローナル抗体をヒト化・低分子化する。さらに、ヒト化抗体ペプチドで被覆し、光力学的(PD)薬剤を組み込んだマイクロキャリア(抗がん剤内包リポソーム)に近赤外蛍光標識あるいは64Cu 標識したImmuno-Theranostics用マイクロキャリアを開発する。腫瘍特異的に集積し、生体イメージングによる高感度な診断と効率良い薬剤送達を同時に行えるキャリアの作製をめざす。 今年度は抗体のヒト化を実施するとともに、その抗体の免疫化学的評価を行った。具体的には、マウス抗体の遺伝子配列情報を基に、データベースからマウス抗体のフレームワークと最も近いヒト抗体のフレームワークの配列を選んだ。選んだヒト抗体のフレームワークとマウス由来CDR領域を組み合わせて、発現ベクターを構築しCHO細胞で導入発現した。高産生株を選択し培養上清中に分泌された抗体をprotein Aカラムで精製した。得られたヒト化抗体をMSLN陽性・陰性膵臓がん細胞培養系で免疫染色し、MSLN陽性細胞への結合を確認した。また、マイクロキャリアの脂質組成および調製法を検討し、薬剤封入効率の向上を図った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の実施計画のうち、MSLNに対するモノクローナル抗体のヒト化を研究協力者の支援のもとに行いその抗原特異性を評価した。その結果、ヒト化抗体は元のマウス抗体と同等の抗原に対する活性を有していることが明らかとなった。抗体の低分子化は現在、継続して検討中である。リポソームの薬剤封入効率については検討を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
1)MSLNに対するヒト化抗体の低分子化を行い、そのMSLNへの特異性、親和性をMSLN発現がん細胞の免疫染色により評価する。2)光力学的薬剤および抗がん剤を封入したマイクロキャリア(リポソーム)を調製し、これにヒト化抗体あるいは低分子化抗体を結合させる。このリポソームを近赤外蛍光あるいはキレート剤を介して64Cuで標識する。3)近赤外蛍光標識した2)項のマイクロキャリアの標的性、細胞内外での局在、薬効等を培養がん細胞の系で評価する。4)64Cu標識した2)項のマイクロキャリアを担がんモデルマウスに投与し、マイクロキャリアの目的病巣への到達度、薬物動態をPETにより解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
直接経費は、抗体の低分子化と精製、リポソームの調製、がん細胞培養および免疫染色の試薬および器具の購入、動物生体イメージング実験費用に充てる。また資料収集のための海外学会参加費用1回分を支出する予定である。
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