2011 Fiscal Year Research-status Report
環境化学物質の慢性・晩発性中枢神経毒性メカニズムにおける神経新生の役割
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23659326
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
市原 学 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90252238)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ブロモプロパン |
Research Abstract |
1-ブロモプロパンを一日8時間、7日間吸入暴露した(0、400、800、1000ppm)ラットから取り出した脳の前頭皮質、線条体、海馬、扁桃核におけるニューロトランスミッター、ノルアドレナリン、ドーパミン、セロトニンおよびそれらの代謝物の変化高速液体クロマトグラフィーによって調べた。1週間暴露において、線条体におけるノルアドレナリンレベルが400、800ppmで有意に減少したが、セロトニンとその代謝物は変化しなかった。DOPAC/DA比は線条体で量依存的に減少した。HVA/DA比は、400、800ppmで前頭皮質で減少していた。4週間暴露(0、200、400、800ppm)では、1週間暴露で見られた変化がさらに顕著であった。HVA、DOPAC/DA、HVA/DA、(DOPAC+HVA)/DA比は800ppm群で上昇していた。しかし、海馬セロトニンレベルは濃度と暴露期間に関わらず変化しなかった。一方、海馬ドーパミンレベルはすべての暴露濃度において減少していた。1-ブロモプロパン800ppm暴露では、ノルアドレナリン、5-HIAAレベルを減少させた。前頭皮質では、HVA とHVA/DA比が増加した。線条体ではノルアドレナリンレベルの減少が見られたが、他の神経伝達物質量は変化しなかった。。1週間暴露と4週間暴露でコルチコステロンは変化しなかった。ラット体重は量依存的に減少したものの副腎皮質重量は変化がなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度はニューロトランスミッターへの影響を検討した。ニューロジェネーシスへの影響の定量化も一部が終わっており、次年度に解析が終了する見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
1-ブロモプロパンに吸入暴露した後BrdUを腹腔注射し、24時間後に4%パラフォルムアルデヒド中性緩衝液を用いて左心室から灌流固定したラットの脳から凍結切片をクライオスタットで作成する。BrdU染色を行い、歯状回におけるBrdU陽性細胞を計測することで、神経新生を定量する。他の種類の有機溶剤、中枢神経作用があると考えられる化学物質についても検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
吸入暴露装置運転費用:消耗品(ポンプ、噴射装置部品)購入費用、ガスクロマトグラフ運転費用:消耗品(シリンジ、窒素ガス)、実験動物購入費用、飼育費用、BrdU染色用試薬、有機溶剤、中枢神経作用を有する化学物質、粒子購入費用
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Research Products
(33 results)