2012 Fiscal Year Annual Research Report
がん検診の有効性をめぐる混乱に終止符を打つ数理モデルで受診率向上を目指す研究
Project/Area Number |
23659350
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
梯 正之 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 教授 (80177344)
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Keywords | がん検診 / 乳がん / 子宮頸がん / 数理モデル / 検診受診行動 / ヘルスビリーフモデル / コンジョイント分析 |
Research Abstract |
1.数理モデルによる乳がん検診の有効性評価 がん検診の有効性の正否を判断するための枠組みを持った数理モデルを作成した。日本及びアメリカの乳がん検診の現状に基づくデータを使用し,異なる検診条件下でシミュレーションを行い,各国の利益と不利益を比較検討した。その結果,日本の隔年検診は毎年検診の死亡減少率の約80%を維持できた。検診年齢別に死亡減少率を比較すると,両国で異なる結果が示された。日本は開始年齢を遅くするより早くする方が相対的な利益が得られた。一方,アメリカは終了年齢を遅くする方が相対的な利益が得られた。開始年齢を50歳から40歳に早くした場合,日本では,検診1回あたりの死亡減少率が低下し,受診者数・偽陽性者数は増加した。最適な検診方法を最終的に決定するには,検診の不利益をどのように評価するかが重要な役割を果たすことが明らかとなった。 2.女性がん検診の受診行動に影響を及ぼす要因に関する調査 女性がん検診の受診率向上を図るための条件を検討した。調査対象は,20歳から69歳までの女性3,200人とした。がん検診の受診状況,ヘルスビリーフモデルによる心理的特性,重視する受診環境条件を調査した。その結果,1,241人(回収率38.8%)から有効回答を得た。乳がん検診の受診行動には,年代・がん家族歴,検診の重大性・検診の利益・検診受診前の障害に対する認識が影響していた。子宮がん検診の受診行動には,世帯・医療保険,がんの重大性・検診の重大性・検診の利益・検診受診前の障害に対する認識が影響していた。受診環境として重視する条件をコンジョイント分析で検討した。女性がん検診の非受診者は,特に,検診費用が安く,検診担当者が女性であることを重視する傾向が認められた。女性がん検診の受診率向上には,住民の背景要因やヘルスビリーフモデルによる心理的特性を考慮したアプローチを検討することが必要である。
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Research Products
(5 results)