2011 Fiscal Year Research-status Report
インスリンパワーに基づく日本人に適した糖尿病リスクテストの開発と保健指導への応用
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23659363
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Research Institution | National Institute of Public Health |
Principal Investigator |
佐田 文宏 国立保健医療科学院, 生活環境研究部, 上席主任研究官 (90187154)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小海 康夫 札幌医科大学, 医学部, 教授 (20178239)
西條 泰明 旭川医科大学, 医学部, 教授 (70360906)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 健康管理 / 2型糖尿病 / リスク予測 / インスリン分泌能 / インスリン抵抗性 / インスリンパワー / 肥満 / 高血圧 |
Research Abstract |
北海道留萌市民1,915 名を対象とした疾病リスク検出調査の結果を基に、これまで行われた欧米の先行研究(イングランド&ウェルズ、ケンブリッジ、フラミンガム等)、わが国の先行研究(久山町研究、JPHC コホート研究等)を参考に、2型糖尿病予測因子に関する問診票を作成した。 留萌市においてボランティア住民41名を対象に、問診票、食物摂取頻度調査等からなる質問紙調査、インスリン分泌能とインスリン抵抗性を評価するインスリンパワー健診を実施し、同時に採血を行った。血液は血漿分離、DNA抽出後、体質検査としてエネルギー代謝に関連するADRB2、ADRB3、UCP1の代表的な3多型を解析した。インスリンパワー良好群(HOMA-R<1.4かつ30 ≦HOMA-β≦55)では不良群に比べ、BMIが有意に低く(21.8 vs. 24.6,p<0.05)、高血圧の既往の割合も有意に低く(p<0.05)、カロテン摂取量が有意に多かった(p<0.01)、一方、体質との関連はみられなかった。これらより、肥満と高血圧の既往はインスリンパワーを弱める要因であることが示唆された。 インスリンパワーによる2型糖尿病予測の有効性を検証するため、一般健康診断において耐糖能異常の疑いがあり、精査のため75gブドウ糖負荷試験(OGTT)を実施した59名を対象に、2型糖尿病発症との関連を検討した。ROC解析に基づき、対象者に最も適したインスリンパワー良好群(HOMA-R<1.7かつ33.7 ≦HOMA-β≦46.8)と不良群とを設定した。インスリンパワー不良の2型糖尿病に対するハザード比(95%信頼区間)は4.6(1.1~20.2)であり、インスリンパワー良好群と不良群の糖尿病型に進展する期間に有意差が認められた(p<0.05)。これらより、インスリンパワーは2型糖尿病への進展を予防する要因であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
パイロットスタディでは、当初、計画していた調査内容をほぼ実施することができ、インスリンパワーによる2型糖尿病予測の有効性を検証することもできた。ただ、参加者が少なかったため、体質の影響は検出できなかった。統計学的パワー不足も原因の一つと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
対象者の人数を増やし、糖尿病予測因子を検討すると同時に、体質検査の項目を増やし、体質に応じた最適な保健指導を検討する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、対象者の人数を数百人規模に増やし、問診票、食物摂取頻度調査等からなる質問紙調査、インスリン分泌能とインスリン抵抗性を評価するインスリンパワー健診、生活習慣病の感受性に係わる体質検査及び生活習慣病予防のための保健指導に研究費を使用する予定である。
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Research Products
(10 results)