2011 Fiscal Year Research-status Report
高齢者の慢性炎症と貧血に関する疫学研究 -鉄代謝障害を中心として-
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23659381
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
満田 憲昭 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10314329)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 貧血 / 慢性炎症 / 鉄代謝 |
Research Abstract |
1)疫学研究 【方法】愛媛大学医学部附属病院抗加齢センターにおける「生活習慣病、動脈硬化症、ならびに抗加齢医学に関する遺伝疫学研究」の一環として、愛媛大学医学部附属病院抗加齢センターで実施している抗加齢ドックの受診者のうち、本研究の趣旨をご理解いただき、同意書にご署名いただいた方々363名より提供いただいた血液から赤血球分画を分離し、総タンパク質量、タンパク質中の還元型SH基の含有量、酸化脂質含有量、メトヘモグロビン比率を測定した。 【結果】炎症性マーカーである高感度CRPと貧血との間には、関連性を認めなかった。赤血球に蓄えられている酸化ストレス履歴(赤血球中のメトヘモグロビン比率、赤血球膜タンパク質中の還元型SH基の含有量、酸化脂質含有量)と暦年齢との間に関連性は認めなかった。これらの指標と貧血との関連性を調査したところ、赤血球数と酸化脂質含有量との間に有意な相関が見られた。この相関は、女性よりも男性において強い傾向があった。ヘモグロビン濃度との間には有意な相関は見られなかった。【意義】男性における貧血と赤血球膜酸化脂質含有量とは高い相関があり、男性における貧血の成因に酸化ストレスが関与していることを示唆する。また、その関与度の指標として、赤血球膜酸化脂質含有量が有用である。女性においては低い相関しか認めなかったことより、女性ホルモン等の女性特有の因子の関与が示唆される。2)血漿ヘプシジンの測定法の確立 鉄代謝のマーカーとしての血漿ヘプシジン濃度を測定するためのELISAアッセイ系の確立を目指している。手始めに市販の抗体を用いたが、充分な感度を得られなかった。そこで、ペプチド合成したヒト ヘプシジン-25を抗原としたモノクローナル抗体の作成を目指している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
疫学的研究は、順調に進展している。血清中のヘプシジン濃度は低いため、ELISAアッセイ系の確立は難航しているが、モノクローナル抗体が完成すれば、それ以降は容易である。
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Strategy for Future Research Activity |
1)ヘプシジンモノクロナール抗体の作製およびELISAアッセイ系の確立を目指す。2)疫学研究の被験者数を増加させる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ヘプシジンモノクロナール抗体の作製およびELISAアッセイ系の確立に必要な、外部委託費や消耗品の購入に使用する。機器購入の必要はない。
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