2011 Fiscal Year Research-status Report
フット8コンディショナルノックアウトマウスを用いた肝癌悪性化責任分子の同定
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23659395
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
青柳 豊 新潟大学, 医歯学系, 教授 (00142266)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須田 剛士 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (10361916)
田村 康 新潟大学, 医歯学総合病院, 医員 (80467076)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | FUT8遺伝子 / 肝細胞癌 / 糖鎖転移酵素 / コンディショナルノックアウトマウス / 発癌 |
Research Abstract |
マウスFUT8遺伝子にloxP、ネオマイシン耐性遺伝子を含むターゲッティングベクターを組み込んだFUT8loxP/loxPトランスジェニックマウスを作製した。このマウスとアルブミン遺伝子のプロモーター下に遺伝子組み換え酵素Creを発現するトランスジェニックマウスを交配することにより、肝細胞特異的にFUT8遺伝子を抑制させたコンディショナルノックアウトマウス (FUT8loxP/loxP‐AlbCre+/-マウス) を作製した。このマウスは、FUT8ノックアウトマウスに見られた外観上の成長障害は認めていない。このFUT8loxP/loxP‐AlbCre+/-マウスの肝臓DNAからCre酵素切断特異的DNAフラグメントを確認し、loxP配列で挟まれたDNA領域がCre酵素により肝組織中で確かに切断されていることが確認された。次に、肝臓でのFUT8遺伝子発現を肝mRNA由来cDNAを鋳型に用い、リアルタイムPCR定量法(TaqMan probe法)で定量した。結果、FUT8loxP/loxP‐AlbCre+/-マウスのFUT8遺伝子発現は、FUT8loxP/loxP‐AlbCre-/-マウスを100%とすると平均32%まで低下していた。一方、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)を用いてマウス肝臓のFUT8活性を測定した結果、FUT8loxP/loxP‐AlbCre+/-マウスのFUT8活性はFUT8loxP/wt‐AlbCre+/-マウスのものとほぼ同等であることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は計画通りに達成した。平成23年度の研究計画どおり、FUT8loxP/loxPトランスジェニックマウスにアルブミン遺伝子のプロモーター下に遺伝子組み換え酵素Creを発現するトランスジェニックマウス (C57BL/6-TgN-AlbCre; The Jackson Laboratory, BarHarbor, ME) を交配することにより、肝細胞特異的にFUT8遺伝子を抑制させたコンディショナルノックアウトマウス (FUT8loxP/loxP‐AlbCre+/-マウス) を作製することが出来た。この観点から、達成度は満足できるものと考えられる。また、同年度は、付加的な目標として、作製したマウスの肝臓FUT8活性をHPLCにて測定することを挙げていたが、この目標も達成している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度の研究成果から、FUT8loxP/loxP‐AlbCre+/-コンデイショナルFUT8ノックアウトマウス肝臓において、Cre酵素により、DNAレベルでの遺伝子制御は確認できたが、mRNAレベルでの十分なFUT8遺伝子発現抑制はなされていないことが確認された。蛋白機能の確認は今後の検討課題だが、HPLCの結果から、FUT8蛋白機能抑制も十分なものでない可能性が考えられる。発癌実験の前提として、マウス肝臓でのFUT8遺伝子発現と蛋白機能の抑制が必須条件であるため、次年度以降、肝組織由来蛋白質の糖鎖プロファイリングをレクチンマイクロアレイで検討しα1-6 Fucose認識レクチンのシグナル強度の変化を確認する、マウス肝臓から肝細胞のみを選択的に単離し、DNA・RNA・蛋白レベルでのFUT8発現・機能を確認する、マウス血清中トランスフェリンのフコシル化を計測し肝臓由来蛋白のフコシル化の有無を評価する、肝Cre酵素mRNA量を比較検討する等の解析を行い、作製したFUT8loxP/loxP‐AlbCre+/-コンデイショナルFUT8ノックアウトマウスの詳細な評価を行う予定である。肝細胞での明らかなFUT8蛋白機能抑制効果が認められた場合、発癌実験を開始するが、研究期間を考慮し、マウス早期肝癌発症モデルであるストレプトゾトシン誘発方法(STAMマウス)を実験に使用する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
糖鎖プロファイリングのレクチンマイクロアレイ関連費用;50万マウス肝臓から肝細胞のみを選択的に単離し、DNA・RNA・蛋白レベルでのFUT8発現・機能解析費用;80万(マウス肝細胞単離は外部委託予定)マウス血清中トランスフェリンのフコシル化評価;50万(抗体購入費など)ストレプトゾトシン誘発マウス肝癌作製費用;300万(処置を外部委託し、観察・解析を実験申請者施行予定)
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