2012 Fiscal Year Research-status Report
樹状細胞と新規ケモカイン製剤の併用により肝がんの二次発がんを制御する手法の開発
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23659396
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
中本 安成 福井大学, 医学部, 教授 (40293352)
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Keywords | 癌 / 免疫学 / トランスレーショナルリサーチ / 動物 / 内科 |
Research Abstract |
我が国で開発された免疫増強技術であるアジュバント製剤に関して、肝がんに対する経皮的ラジオ波焼灼療法(RFA)と樹状細胞治療に併用する手法の開発を進めた。 この研究は、前年度の(1)に加えて(2)を行い、来年度以降は(3)を行う。 (1)樹状細胞の誘導培養法(ex vivo)の検討: 末梢血単核球から得られたCD14(+)接着細胞を分離して、GM-CSF、IL-4を含む培養液中で7日間培養した。誘導培養の過程で、a)GM-CSF/IL-4、+ b)IL-1β;/IL-6/TNFα;、+ c)PEG2、+ d)OK-432、e)[Zn]の刺激を用いた。その結果、OK-432と亜鉛を用いる新たな樹状細胞の誘導法が示唆され、抗腫瘍免疫を賦活化する治療法に発展する可能性が示された。 (2)肝がんモデル(in vivo)でのアジュバントの併用に関する前臨床試験: アジュバント(ECI301製剤)をマウス肝がんモデルに用いて、ラジオ波焼灼療法(RFA)との併用による効果を検討したところ、RFAを施行したがん腫の消失に加えてRFAを施行していない他部位のがん腫の増殖が著明に抑制された。また作用機序として、末梢血中に多くの抗原提示細胞が誘導され、これらの細胞がRFA部位において活性化されることによって、所属リンパ節を介して他部位のがん腫に効果を発揮することが示唆された。これより、アジュバント製剤による局所での感作が全身のがん免疫を賦活しているものと考えられ、この活性は肝がん局所治療後の二次発がんの制御に有望であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究において、平成23-24年度は(1)樹状細胞の誘導培養法(ex vivo)に関する検討、(2)肝がんモデル(in vivo)でのアジュバントの併用に関する前臨床試験を計画していた。(1)について、各種の誘導刺激に関する樹状細胞の表面マーカー、サイトカイン産生、貪食能、細胞障害活性についての成果が得られている。(2)について、肝がんRFA治療とアジュバントの併用効果が示され、その細胞免疫学的機序に関する解析も行われており、予定通りの進展と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、今後は(1)(2)に加えて以下の研究を予定している。 (3) 肝がん患者を対象とした安全性臨床研究:アジュバント製剤を用いた新規治療法の開発過程として、本研究期間内においては安全性臨床試験として開始する。(1)~(2)で確立した方法、至適量に基づいて、RFAと併用する樹状細胞治療の際にGMPグレードのアジュバント製剤を投与する。実施に際しては、本学医学倫理委員会の承認を得て行う。 ・対象:肝癌診療ガイドライン(2005年版)においてRFAの適応となる肝がん症例 ・投与法:RFA時に、ほぼ同時に樹状細胞、アジュバント製剤(経皮的、全身性)に投与する。 ・投与量:1/100量3例、1/10量3例、至適量10例(ドーズエスカレーション) 主要エンドポイントとして投与後の副反応、有害事象を観察する(NCI CTC Scale)。また、肝がんの再発は定期的画像診断(dynamic 造影CT, MRI)、免疫誘導能の検討は末梢血リンパ球を用いて(1)(2)の手法にて解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の計画通り、(1)(2)に加えて(3)において、肝がん患者における安全性臨床研究にまで発展させる一連の計画を予定している。GMPグレードの細胞培養試薬、サイトカインをはじめとする大量の消耗品を購入して計画を推進するとともに、これまでの基礎的・前臨床的検討の結果および安全性臨床研究について、得られた結果を取りまとめ、成果の発表を行う。
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Research Products
(4 results)